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諸謝金も源泉徴収をするべき?必要なケースと不要なケースを解説


2024.10.31

諸謝金の支払いと源泉徴収について、頭を悩ませていないでしょうか?「どのような場合に源泉徴収が必要なの?」「計算方法は?」といった疑問は、多くの方が抱えています。これらは、正しい知識を身につければ、適切な形で処理できるようになります。

本記事では、諸謝金における源泉徴収が必要なケースと不要なケース、計算方法、源泉徴収票の書き方などを解説します。ぜひ最後までご覧いただき、諸謝金の源泉徴収について確認してみてください。

諸謝金で源泉徴収が必要なケースとは

諸謝金の支払いで源泉徴収が必要なケースは、主に2つあります。一つは、一回の支払いが5万円を超える場合、もう一つは実質的な報酬と見なされる場合です。それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。

講演会の謝礼を払うとき

まず、5万円を超える支払いについて解説します。これは法律で定められた基準であり、たとえば6万円の講演料を支払う場合、源泉徴収の対象です。金額の大小で判断できるため、比較的分かりやすいでしょう。

次に、実質的な報酬と見なされる場合について説明します。これは少し難しいかもしれませんが、講演会の謝礼やWebサイトのデザイン料が該当します。講演会の謝礼は、専門知識や経験に対する対価であり、単なる謝意ではなく仕事としての性質を持つため、金額に関わらず源泉徴収の対象となります。

Webサイトのデザインや広告デザインを依頼したとき

Webサイトや広告のデザイン料も同様で、明確なサービスの提供とみなされます。デザイナーの技術や創造性に対する報酬としての性質があるため、源泉徴収が必要です。ここで注意したいのは、金額だけでなく内容も重要だという点です。5万円以下であっても、専門的なサービスへの対価は源泉徴収の対象となります。

具体的にどのように判断すればいいのか、以下の点を確認してみてください。

  • 支払いの目的は何か
  • 受け取る側の専門性はどの程度か
  • 継続的な依頼か、一回限りか
  • 成果物があるか

これらを総合的に考えることで、源泉徴収の必要性が見えてきます。たとえば、プロの写真家に商品撮影を依頼して3万円を支払った場合、金額は5万円以下ですが、専門的なサービスへの対価として源泉徴収が必要です。

一方で、会社のイベントで従業員が撮影した写真に対する謝礼であれば、これは本業とは異なるため、源泉徴収は不要でしょう。このように、諸謝金の源泉徴収は単純に金額だけでは判断できません。支払いの実態をよく見極める必要があります。

諸謝金で源泉徴収が不要になるケースとは

諸謝金の中には、源泉徴収が不要なケースがあります。これらを正しく理解すると、経理処理がスムーズになります。基本的には、一回の支払いが5万円以下の場合や支払い手数料としての性質を持つ内容が該当します。

イベントなど手伝いをした際の支払い

会社のイベントで臨時に手伝ってくれた人への謝礼は、典型的な源泉徴収不要のケースです。これは、専門的なサービスではなく、単純な労力提供に対する感謝の意味合いが強いためです。たとえば、社内の忘年会で受付を手伝ってくれた人に3,000円を支払う場合は、源泉徴収の対象外となります。これは、専門的な技術や知識に対する報酬ではないからです。

また、アンケート回答への謝礼も同様です。回答者の時間と労力に対する感謝の気持ちを表すものであり、源泉徴収は不要です。ただし、専門家にコンサルティング的な回答を求める場合は専門的サービスの提供とみなされ、源泉徴収が必要になる可能性があります。

一方で、イベントの司会や進行役への謝礼は、状況により判断が分かれます。社内の従業員が副業的に行う場合は源泉徴収不要ですが、プロの司会者に依頼する場合は源泉徴収が必要になるでしょう。

工事完成祝金のような謝礼ではないもの

工事完成祝金は、源泉徴収が不要な例です。これは、文字通り工事の完成を祝うために支払われるものであり、報酬ではなく純粋な祝意の表現です。たとえば、新社屋の建設が無事に完了した際に建設会社に10万円の完成祝金を贈る場合、金額は5万円を超えていますが、源泉徴収の対象外です。

この支払いは工事の対価ではなく、工事代金とは別に感謝と祝福の気持ちを込めて贈るものだからです。同様に、取引先への中元や歳暮も源泉徴収の対象外です。これらは商習慣としての贈答品であり、サービスへの対価ではありません。

諸謝金における源泉徴収の計算シミュレーション

源泉徴収の計算について具体的例を使い、計算方法を見ていきましょう。

まず、講演料10万円を支払うケースを考えてみます。この場合、源泉徴収税率は10.21%です。

10万円 × 10.21% = 10,210円

つまり、講演者には89,790円を支払い、10,210円を源泉徴収します。次に原稿料8万円の例を見てみましょう。原稿料の場合、税率は少し異なります。具体的には10.21%ではなく、10.17%になります。

8万円 × 10.17% = 8,136円

結果、著者には71,864円を支払い、8,136円を源泉徴収することになります。ここで注意したいのは、税率が支払いの種類によって変わる点です。講演料と原稿料では、わずかですが違いがあります。

また、源泉徴収額の計算結果に1円未満の端数が出た場合は、切り捨てます。

7万5,000円の講演料の場合
75,000円 × 10.21% = 7,657.5円

この場合、7,657円を源泉徴収し、67,343円を支払います。

こういった計算を手作業で進めるのは負担が大きいですが、「謝金システム」を利用すると非常に便利です。金額を入力するだけで自動計算してくれるため、ミスが減り、時間も大幅に節約できます。特に、多くの講師やさまざまな種類の謝金を扱う組織にとっては重宝するツールでしょう。

諸謝金の源泉徴収票の書き方

諸謝金の源泉徴収票は、正確に記入することが求められます。では、具体的な書き方を見ていきましょう。まずは「支払を受ける者」の欄から始めます。ここには報酬を受け取る人の情報を記入します。住所、氏名、そしてマイナンバーを正確に記載してください。ただし、税務署提出用にはマイナンバーを記入しますが、本人交付用には記入しません。これはプライバシー保護のためです。

次に「区分」欄です。ここには支払いの種類を記入します。たとえば、原稿料、講演料、デザイン料などです。「細目」欄は、区分をさらに詳しく説明する部分です。原稿料なら「○月分」、講演料なら「○月○日の講演」といった具合に、できるだけ具体的に書いてください。

「支払金額」欄には、その年に支払った報酬の総額を記入します。消費税がある場合は、それも含めた金額を書きます。くれぐれも正確な金額を記入してください。「源泉徴収税額」欄には、支払金額から差し引いた税金の額を記入します。消費税込みの金額から計算するのが一般的です。

最後に「支払者」欄です。ここには支払調書を発行する側、つまり会社や個人事業主の情報を記入します。住所、氏名(法人名)、そして法人番号やマイナンバーを忘れずに記載してください。なお、手書きの場合は黒のボールペンを使用し、文字は丁寧に読みやすく書きましょう。パソコンで入力する場合は、国税庁のウェブサイトにあるフォーマットを利用すると便利です。

諸謝金と源泉徴収によくある質問

ここでは諸謝金と源泉徴収票に関して、よくある質問と回答をご紹介します。

諸謝金として旅費を払う場合は源泉徴収の対象になりますか?

通常の旅費は源泉徴収の対象外です。ただし、いくつかの注意点があります。旅費の中に日当が含まれる場合は一種の報酬と見なされるため、源泉徴収の対象になります。

諸謝金の源泉徴収をしないとどうなりますか?

源泉徴収を怠ると、税務署から脱税の指摘を受ける可能性があります。その際、取引先に余計な手間をかけてしまい、今まで築き上げた信頼や信用が無くなる可能性もあります。源泉徴収は法律で定められた義務なので、必ず確定申告は行うようにしてください。

諸謝金と源泉徴収のまとめ

諸謝金の源泉徴収は、必要な場合と不要な場合があるため、その線引きを的確に判断することが求められます。ただし、本記事で解説した基準に沿って判断すれば、適切に処理を進められるでしょう。また、「謝金システム」のような会計システムを用いることで、よりスムーズに諸謝金の源泉徴収も処理が可能です。必要に応じて専門家のアドバイスを受けながら、適切に処理を進めていきましょう。