法人は事業をおこなうために、さまざまな種類の費用を支払わなければいけないことがあります。謝礼金を特定の相手に支払う場合もあり、このような費用を支払った場合には、会計処理にも注意する必要があります。
さらに、謝礼金を渡す時には、守らなければいけないマナーやルールもあるので、こうした知識を知っていれば、謝礼金を渡す時に活用できます。ここでは、謝礼金の概要や使用する封筒のマナーについて詳しく解説します。
謝礼金とは
「謝礼金」とは、事業に協力をしてもらった相手などに感謝の気持ちを表して支払うお金のことです。法人が事業をおこなうためには、特定の相手に協力してもらわなければいけない時もあるので、協力のお礼として謝礼金を相手に贈ることがあります。
例えば、社内で講演のイベントを開催する際に、イベントの出席者に社員の前で講演をしてもらったお礼として、謝礼金が支払われます。こうした種類の費用は報酬とは異なるため、謝礼金として取り扱われています。
また、取引相手を社外の人間に紹介してもらった場合にも、謝礼金を支払うことがあります。こうした費用も報酬には該当しないので、同様に謝礼金として経理処理をする必要があるでしょう。書籍などを発行している法人の場合には、取材に協力してもらった相手に謝礼金を支払うこともあります。商品の開発をしている法人が、研究を依頼した相手に謝礼金を支払うこともあり、さまざまな理由により謝礼金は支払われています。
謝礼金の勘定科目
法人が謝礼金を支払った時には、経理を正しくおこなう必要があります。謝礼金の経理をする場合に注意しなければいけないのは、使用する勘定科目です。間違った勘定科目を使用すると、各事業年度の利益も正しく計算できなくなってしまいます。謝礼金を会計処理する時に使用できる勘定科目は、支払った謝礼金の種類によって異なるのです。謝礼金の内容や相手との関係性によっては、「接待交際費」を使用する時もあり、「支払手数料」の勘定科目を使用することもあります。
接待交際費
例えば、取引先を紹介してくれた相手に謝礼金を支払ったケースで使うことが多い勘定科目は、「接待交際費」です。現金で謝礼金を支払った場合には、仕訳帳の借方に現金の勘定科目を使用して、貸方に接待交際費を使用します。
しかし、取引先を紹介してくれた相手によっては、接待交際費を使用できない場合もあるので注意が必要です。接待交際費を勘定科目として使用できるのは、取引先を紹介してくれた相手が事業者である場合です。謝礼金を支払った相手が法人の事業者でも個人事業者でも、接待交際費で処理できます。
支払手数料
一方、「支払手数料」の勘定科目を使用して経理した方が良い場合もあります。こうした方法で経理をするのが適切なのは、取引先を紹介してくれた相手が事業者以外の個人である場合です。このような場合には接待交際費を使用するのは適切ではないので、代わりに支払手数料が使用されています。
さらに、法人である事業者から取引先を紹介された場合でも、例外として支払手数料を使用して経理をした方が良い場合があります。例えば、取引相手を紹介することを「事業としておこなっている法人」の場合には、紹介をしてもらったお礼として支払う謝礼金は、支払手数料として経理した方が適切です。
謝礼金を渡すときの封筒ルール7選!
法人が事業に協力してくれた相手に謝礼金を渡す時には、お金を封筒に入れて渡すのが正しいマナーです。ここからは、封筒に入れて謝礼金を渡す時のルールやマナーについて、詳しく解説します。
謝礼金を入れるために使用できる封筒
謝礼金を入れるための封筒は、適切なものを選びましょう。無地の白い封筒が、謝礼金を入れるための封筒としてよく利用されています。その中でも、郵便番号を記入する欄が印刷されていないものの方が適しています。ただし、無地の白い封筒であっても、水引きがついているものは、謝礼金に向いていません。
封筒の中に直接お金を入れない
謝礼金を封筒の中に入れる時には、お金を封筒の中に直接入れないようにするのが正しいマナーです。お金を封筒の中にそのまま入れるだけでは、贈る相手に十分な敬意を払うことができません。謝礼金を入れる時に使用した方が良いのは「中袋」です。中袋の中にお金を入れてから封筒に入れれば、贈る相手に敬意を払えるでしょう。
封筒にお金を入れるための正しいマナー
封筒の中に入れるお金は、できるだけきれいなお札を使用しましょう。一番良いのは、銀行に行って新札を入手する方法です。新札を用意する時間がない場合には、手持ちのお札の中からできるだけ汚れていないものや、折れ目がないものを選んでください。さらに、お金を入れる向きにも注意する必要があり、お札の表側を封筒の表の面に向けて入れるのが正しいマナーです。
封筒の表側に書いた方が良い文章
謝礼金を入れるための封筒は、表側の面に謝礼金であることを表す文章を記載することが一般的です。謝礼金の封筒に書かれることが多いのは「謝礼」という文字です。また、「御礼」という文字を、封筒の表側に書くこともできます。
文章を封筒に書く時には、文字を書く場所にも注意が必要です。封筒の下側の部分は、謝礼などの文字を書くためには適切ではありません。封筒の中央より上側に謝礼や御礼という文字を書けば、封筒全体のバランスが良くなります。しかし、文字が小さすぎるとバランスが悪くなるので、ある程度大きな文字で書くと良いでしょう。
封筒に書いてはいけないこと
謝礼金を入れるための封筒には、書いてはいけないこともあります。贈る相手の名称は、謝礼金を入れる封筒には書かないのが正しいルールです。謝礼金の金額も、封筒に書くのは不適切です。
贈る人の名前を書く場所
謝礼金を贈る場合には、贈る側が自分の名前を書くこともできます。封筒に自分の名前を書く場合に最適な場所は、表の面の下側の部分です。謝礼や御礼という文字の下側に書くのが一般的な方法です。
封筒に文字を書く時に使用できる筆記用具
謝礼金を入れる封筒は、文字の書き方にも気をつけることが必要です。字を書くために使用する筆記用具として最適なのは筆ペンです。筆ペンであれば、漢字もきれいに書きやすいので、贈る相手を不快にしないきれいな文字を書けるでしょう。筆ペンを持っていない場合には、黒の油性ペンで代用することも可能です。
謝礼金も分かりやすく管理できる会計ソフト
謝礼金の経理処理をする際は、会計用のソフトを利用すると便利です。ここからは、謝礼金の経理に最適な会計ソフトをいくつか紹介します。
WEBバランスマン
「WEBバランスマン」は、公益情報システム株式会社が販売している公益法人向けの会計ソフトです。このソフトには、複雑な処理をする必要がある公益法人が利用しやすい機能が多く搭載されているので、特におすすめできます。補助金の申請をしている公益法人も、このソフトを使用すれば正確に会計処理ができるでしょう。複数の会計基準で決算書を出力できる機能もあるので、各種補助金の申請に必要になる会計基準を選んで決算書が作れます。
さらに、セキュリティ機能が優れていることも、このソフトをおすすめできる理由です。世界的な企業が発行しているSSL証明書を取得しているため、会計の情報を安全に管理できます。操作も分かりやすく、簿記の知識を知らなくても簡単に必要な情報を入力できるので、効率よく会計処理ができるでしょう。
会計王
謝礼金をわかりやすく管理したい法人は、「会計王」という会計ソフトも使用できます。会計王とは、ソリマチ株式会社が販売している会計用のソフトです。このソフトは販売開始から20年以上の間、これまでに多くの人に使用されてきました。
このソフトには法人が使用しやすい機能も多く搭載されており、事業のために使用しているクレジットカードなどがある場合にも便利です。カードをあらかじめソフトに登録しておけば、明細を自動仕分けできる機能が搭載されているため、入力の手間を省くことができるでしょう。
さまざまなルールやマナーがある謝礼金の封筒
謝礼金を入れるために使用する封筒には、守らなければいけないマナーやルールが多くあります。使用できる封筒の種類にも決まりがあり、白い色の無地の封筒が、謝礼金を入れるためには最適です。さらに謝礼金を入れる封筒には書いてはいけないこともあり、相手の名前を封筒に書くこともマナー違反です。
こうしたマナーをしっかりと守れば、相手に敬意を払って謝礼金を支払えるでしょう。