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公益財団法人の会計基準とは?注意点も解説


2025.03.19

公益財団法人の会計基準は、一般企業とは異なる特殊な規則があります。本記事では、その基準の概要や企業会計との違い、必要な財務諸表、適用時の注意点、さらに便利な会計ソフトまで解説します。公益財団法人の運営に関わる方は、ぜひ参考にしてください。

公益法人の会計基準とは

公益法人の会計基準とは

公益財団法人の会計基準は、財務状況を適切に報告するためのルールです。この基準は、公益性を重視した会計処理を定めています。また、時代の変化に応じて改正を重ね、現在の形になりました。この基準を理解することで、公益財団法人の財務状況を正確に把握できます。

公益財団法人の会計基準と企業会計基準の違い

公益財団法人の会計基準は、一般企業の会計基準とは大きく異なる特徴があります。

目的

公益財団法人の会計基準は、公益性の追求を第一の目的としています。財務状況の透明性を確保し、適切な情報開示を行うことが重視されます。さらに、収支バランスや資金の適切な使用が求められます。一方、企業会計基準は、利益の追求と株主への還元を主な目的です。利益の最大化や株主価値の向上が重要な指標となるでしょう。

利害関係者の範囲

公益財団法人の利害関係者は、企業よりも広範囲に及びます。国民全体、主務官庁、寄付者、受益者などが含まれます。税制優遇を受けているため、納税者である国民全体が利害関係者となるわけです。また、公益財団法人は、社会全体に対する説明責任を負っています。一方、企業の場合は主に株主、債権者、取引先が利害関係者となります。

財務諸表の名称

公益財団法人と企業では、財務諸表の名称にも違いがあります。公益財団法人では「正味財産増減計算書」を作成します。これは、企業会計における「損益計算書」に相当するものです。「貸借対照表」は両者で共通していますが、内容に違いがあります。公益財団法人特有の「財産目録」も作成が求められます。

税制優遇

公益財団法人は、その公益性ゆえにさまざまな税制優遇を受けています。具体的には、法人税は原則非課税で収益事業のみが課税対象となります。寄付金に対する税制優遇措置も設けられています。公益財団法人への寄付は、個人・法人ともに税制優遇の対象です。一方、企業の場合、原則としてすべての所得に対して法人税が課されます。

公益財団法人の会計基準における財務諸表

公益財団法人の会計基準では、独自の財務諸表が定められています。これらの財務諸表は、法人の財務状況を適切に表現するために不可欠です。以下では、主要な財務諸表について解説します。

貸借対照表

貸借対照表は、法人の財政状態を示す書類です。具体的には資産、負債、正味財産の三要素で構成されています。資産は、流動資産と固定資産に分類されます。負債も同様に、流動負債と固定負債に分けられます。また、正味財産は、指定正味財産と一般正味財産に区分されます。

その他、指定正味財産は使途が制限された寄付金など、一般正味財産は法人が自由に使える財産を示します。この区分により、法人の財産の性質がより明確になっています。

正味財産増減計算書

正味財産増減計算書は、企業の損益計算書に相当する書類です。一定期間の正味財産の増減を示します。経常収益と経常費用、そして経常外増減に分けて表示します。公益目的事業会計と法人会計を区分して記載します。この区分により、公益事業の実施状況が明確になります。

キャッシュ・フロー計算書

キャッシュ・フロー計算書は、資金の流れを示す書類です。事業活動、投資活動、財務活動の3つに分類して表示します。そのため、この書類では現金の増減を詳細に把握することが可能です。特に大規模な法人では、この書類の作成が義務付けられています。

附属明細書

附属明細書は、他の財務諸表を補完する役割がある書類です。位置づけとしては、貸借対照表や正味財産増減計算書の内容を詳しく説明します。たとえば、固定資産の明細や引当金の増減など、詳細な情報を記載します。詳細な内容であるため、利害関係者の理解を得るために欠かせない書類といえるでしょう。

財産目録

財産目録は、法人が保有するすべての財産を一覧にした書類です。書類には、資産と負債の両方を詳細に記載します。記載内容は金額だけでなく、数量や使用目的なども明記します。

公益財団法人の会計基準適用における注意点

公益財団法人の会計基準を適用する際には、いくつかの注意点があります。これらの注意点を理解し、適切に対応することで、正確な会計処理が可能です。

基準の改正

公益財団法人の会計基準は、定期的に改正されます。そのため、最新の基準に常に注意を払う必要があります。たとえば、2025年4月からは新たな基準が適用されることになっています。このような大きな改正時には、会計処理方法の見直しが必要です。なお、改正情報は所轄庁や関連団体のウェブサイトで確認できます。定期的なチェックを習慣づけることをおすすめします。

細かい区分

公益財団法人の会計では、細かい区分が要求されます。特に公益目的事業と収益事業等の区分が重要です。正味財産も、一般正味財産と指定正味財産に分けて管理します。さらに、経常収益と経常費用の区分も企業会計より詳細です。そのため、区分の基準を理解し、日々の取引から正確に分類することが大切です。

専門知識の必要性

公益財団法人の会計には、専門的な知識が必要です。一般的な簿記の知識だけでは、適切な処理が難しい場合があります。そのため、公益法人会計の特殊性を理解している人材が求められます。対策として、外部の専門家に相談したり研修を受けたりすることも有効です。さらに、会計ソフトの利用も検討しましょう。

税務処理

公益財団法人には、特殊な税務処理が適用されます。原則として法人税は非課税ですが、収益事業には課税されます。また、公益目的事業と収益事業の区分が税務上も重要です。寄付金の税制優遇措置についても、正確な理解が必要です。さらに、消費税の取り扱いも一般の企業とは異なる点があります。税務の専門家に相談しながら、適切な処理を心がけましょう。

公益財団法人の会計基準に対応しているソフト3選

公益財団法人の会計基準に対応しているソフト3選

ここでは、公益財団法人の会計基準に対応した3つのソフトをご紹介します。

WEBバランスマン

WEBバランスマンは、公益情報システム株式会社が提供する会計ソフトです。クラウド版とオンプレミス版があり、自社の環境に合わせて選択できます。また、伺書からの入力機能が標準装備されており、作業の簡易化が図れます。他にも16年/20年会計基準両方の決算書出力に対応しているのが特徴です。

按分が必要な伝票も、一度の入力で処理できる機能を備えています。本格的な予算管理機能も搭載され、公益法人の財務管理をサポートするソフトです。

PCA公益法人会計

PCA公益法人会計は、ピー・シー・エー株式会社が開発した会計ソフトです。特徴は充実した承認機能や伺書のレイアウト編集機能を備えている点です会計区分や事業区分を自由に設定でき、柔軟な運用が可能です。また、最大5階層の科目登録ができ、詳細な会計管理を実現します。事業区分ごとの予算作成機能も搭載され、予算管理も容易になるでしょう。

公楽

公楽は、株式会社ケイエムシーが提供する公益法人向け財務会計ソフトです。25年以上の開発実績があり、公益法人からの要望を反映した製品です。伺書作成から伝票発行、銀行振込処理、決算まで一連の業務を連動して処理します。また、会計状況をリアルタイムで把握でき、精度の高い予算運営を実現します。さらに、決算書の自動生成機能により、期末の確認作業がスムーズになります。クラウド機能も搭載されており、インターネット環境があればどこでも利用可能です。

公益財団法人の会計基準まとめ

公益財団法人の会計基準は、公益性を重視した独自のルールに基づいています。企業会計とは目的や利害関係者、財務諸表の種類が異なり、税制優遇も受けられます。

適用には専門知識が必要で、基準改正にも注意が必要です。そのため、効率的な会計処理には専用ソフトの活用が有効です。これらの知識を活かし、透明性の高い財務報告と適切な法人運営を実現しましょう。