公益情報システム株式会社トップ > ブログ > 公益法人会計基準の16年と20年はどう違う?

公益法人会計基準の16年と20年はどう違う?


2025.03.03

公益法人の会計基準は、16年と20年の基準があります。それらの基準を順守することで、適切な財務報告や社会からの信頼を得ることが可能です。本記事では、16年基準と20年基準の違いや、適切な対応方法について解説します。公益法人を運営している方は、ぜひ参考にしてください。

公益法人の会計基準とは

公益法人の会計基準は、財務情報の透明性と説明責任を確保するためのルールです。16年基準や20年基準などのように呼ばれることがありますが、16年基準は平成16年に改正された基準、20年基準は平成20年に改正された基準を意味します。いずれの基準においても、公益法人が作成する財務諸表の作成方法や様式を定めています。


また、公益法人の健全な運営を支援し、外部への適切な情報開示を促進する役割を果たします。具体的には、貸借対照表や正味財産増減計算書などの財務諸表の作成方法を規定しています。さらに、公益法人特有の会計処理や開示要件も定めており、この基準に従うことで公益法人の財務状況を正確に把握し、比較することが可能です。

公益法人会計基準の16年基準

公益法人会計基準の16年基準は、公益法人の財務報告に大きな変化をもたらしました。

16年基準の背景と目的

平成16年に公表された新しい会計基準には、重要な目的がありました。それは公益法人の財務情報をより透明化し、効率性を高めることです。それまでの会計基準では、収支計算が中心でした。しかし、16年基準では企業会計の考え方を取り入れ、大きく変わりました。この変更により、公益法人の活動実態をより正確に把握できるようになりました。また、外部からの評価もしやすくなっています。

16年基準の主な特徴

16年基準の最大の特徴は、正味財産増減計算書の導入でしょう。この計算書は、法人の1年間の活動成果を表すものです。収支計算書に代わり、正味財産増減計算書が主要な財務諸表となりました。その結果、法人の経営成績をより適切に示すことが可能になったのです。

また、貸借対照表も重要な財務諸表として位置づけられました。資産や負債の状況を明確に示すことで、法人の財政状態が分かりやすくなりました。さらに、キャッシュフロー計算書の作成も推奨されています。

16年基準における会計区分

16年基準では、会計区分の考え方も変わりました。主に「一般会計」と「特別会計」という区分が用いられるようになったのです。一般会計は、法人の通常の活動に関する会計です。特別会計は、特定の目的のために区分して経理する会計を指します。この区分により、法人の活動をより詳細に把握できるようになりました。なお、各会計区分で、貸借対照表と正味財産増減計算書を作成します。そして、法人全体の情報は総括表としてまとめられるのです。この会計区分の導入により、法人の財務管理がより細かくなりました。

公益法人会計基準の20年基準

公益法人会計基準の20年基準は、公益法人制度改革に対応した新たな会計ルールです。

20年基準の背景と目的

平成20年に公表された新基準の制定には、公益法人制度改革関連三法の成立が関係しています。この法改正により、公益法人の在り方が大きく変わりました。20年基準は、この新制度に適合した会計処理を定めています。公益法人の活動をより適切に表現することが、この基準の主な目的です。また、財務情報の透明性をさらに高めることも目指しています。公益認定を受けた法人の財務規律を明確にするという狙いもあるでしょう。

20年基準の主な特徴

20年基準の特徴は、事業別の会計区分の導入です。具体的には公益目的事業、収益事業等、法人会計という3つの区分が設けられました。この区分により、各事業の収支や財務状況が明確になります。

また、財務諸表の体系も見直されました。貸借対照表、正味財産増減計算書に加え、キャッシュ・フロー計算書が加わっています。なお、キャッシュ・フロー計算書は、資金の流れを示す重要な情報源となります。さらに、正味財産増減計算書は、より詳細な内訳表示が求められるようになりました。そのため、法人の活動実態がより正確に把握できるようになったのです。

20年基準における注記の充実

20年基準では、財務諸表の注記事項が大幅に拡充されました。特に公益認定法に基づく財務規律への適合性に関する情報が重視されています。たとえば、公益目的事業比率や遊休財産額の制限に関する情報が必要になりました。

また、関連当事者との取引に関する情報開示も求められるようになりました。これは、法人運営の透明性を高めるための重要な措置です。さらに、重要な会計方針や会計上の見積りに関する注記も充実しました。これらの注記により、財務諸表の利用者は、より詳細な情報を得られるようになりました。公益法人の説明責任を果たすうえで、注記の充実は大きな役割を果たしています。

公益法人会計基準の16年基準と20年基準の違い

公益法人会計基準の16年基準と20年基準には、いくつかの違いがあります。

会計区分の変更

16年基準では、会計区分が「一般会計」と「特別会計」に分けられていました。
これは法人が任意で設定できる仕組みでした。

一方、20年基準では事業単位での区分が導入されました。具体的には「公益目的事業会計」「収益事業等会計」「法人会計」という区分です。この変更により、法人の活動実態をより適切に反映できるようになりました。つまり、各事業の収支や財務状況が明確になり、透明性が向上したのです。また、公益認定法の要請に基づく区分経理にも対応しやすくなりました。

財務諸表の体系の変更

16年基準では、財産目録が財務諸表に含まれていました。しかし、20年基準では財産目録は財務諸表から除外されました。代わりに、貸借対照表の注記で詳細な資産・負債の状況を開示するようになっています。また、20年基準では大規模な公益法人にキャッシュ・フロー計算書の作成が義務付けられました。

その結果、資金の流れがより明確になり、法人の財務状況の理解が深まりました。財務諸表の作成単位も変更され、法人全体の数値を主とする形に変わりました。

注記事項の拡充

20年基準では、16年基準と比較して注記事項が大幅に拡充されました。特に公益認定法に基づく財務規律への適合性を判断するための情報開示が求められるようになりました。たとえば、公益目的事業比率や遊休財産額の制限に関する情報が必要になったのです。また、関連当事者との取引に関する情報開示も強化されました。さらに、重要な会計方針や会計上の見積りに関する注記も充実しました。これらの変更により、財務諸表の利用者はより詳細な情報を得られるようになったわけです。

公益法人の会計基準に適切に対応する方法

公益法人の会計基準に適切に対応するには、最新の知識と適切なツールの活用が不可欠です。

最新の会計基準の理解と適用

公益法人会計基準は定期的に見直されます最新の改正内容を把握し、自法人の会計処理に反映させる必要があります。たとえば、2025年4月から新しい会計基準が適用される予定です。この新基準では、財務諸表の簡素化や注記事項の充実が図られています。法人の担当者は、これらの変更点を十分に理解しなければなりません。


また、新基準の適用に向けて、現在の会計処理方法を見直す必要があるでしょう。日々の取引記録から決算書類の作成まで、一貫して新基準に沿った対応が求められます。

専門家への相談

会計基準の解釈や適用には、専門的な知識が必要です。そのため、公認会計士や税理士など、公益法人会計に精通した専門家への相談も検討しましょう。専門家は、法人の特性に応じた適切なアドバイスをしてくれます。

また、会計処理の妥当性を客観的に評価してもらえるのも大きなメリットです。定期的な相談により、会計処理の質を高め、透明性を確保できるでしょう。さらに、行政庁への報告書類の作成支援も期待できます。

会計ソフトの導入

適切な会計ソフトの導入は、業務効率化と正確性向上に不可欠です。公益法人向けの会計ソフトでは、WEBバランスマンがおすすめです。WEBバランスマンは、公益法人会計基準に完全準拠したクラウド型システムです。16年基準と20年基準の両方に対応し、柔軟な会計処理が可能です。予算管理機能や伺書入力機能など、公益法人特有の機能も充実しています。


さらに、細かな権限設定により、セキュリティ面でも安心して利用できます。クラウド型のため、場所を選ばず利用できるのも大きな特徴です。WEBバランスマンの導入により、会計業務の効率化と正確性の向上を目指せるでしょう。

公益法人会計基準における16年と20年の違いまとめ

公益法人の会計基準は、16年基準から20年基準への移行により、より詳細かつ適切な財務報告が可能となりました。公益法人は、これらの基準を遵守し、社会からの信頼を獲得することが求められています。最新の基準を理解し、専門家の助言や適切な会計ソフトを活用しつつ、対応していきましょう。