収支や財政状態などを利害関係者に報告する会計の基準には、公益法人会計と企業会計があります。この記事では、公益法人会計と企業会計について、違いや作成する書類の解説、公益法人会計に対応したソフトの紹介などをしていきましょう。
公益法人会計と企業会にはどのような違いがあるのか
公益法人会計は、公益性のある事業を目的とした法人が活動に関する情報をまとめる会計のことです。会計は、国民・主務官庁・経営者・債権者・取引先などの利害関係者に報告をすることを目的としています。公益法人会計における書類の作成方法などの基準が公益法人会計基準です。公益法人会基準は、昭和52年に設定されて以来、時代の変化に合わせて改正を繰り返してきました。改正によって、基準の内容が大きく変わることもあるので最新の基準にあった会計を行えるように情報収集を怠ってはいけません。
公益法人の会計基準
公益法人会計基準は、公益社団法人・公益財団法人の他にも公益認定を受けている一般社団法人・一般財団法人や整備法第123条第1項に定めのある移行法人 、整備法第60条に定めのある特例民法法人などが適用対象です。一般社団法人・一般財団法人が受ける公益認定は、様々な税制優遇措置を受けられるというメリットがありますが、厳しい公益認定基準に適合しなければいけないので審査に通ることは容易なことではありません。
公益法人会計は、公益性に重きを置かれているのですが、そのことは正味財産増減計算書という書類の名称からもわかります。正味財産増減計算書とは、一事業年度における公益法人等の正味財産(貸借対照表における純資産のこと)の増減を記録した書類です。正味財産増減計算書には、事業でどの程度の収益があったのか、どのくらいの損失が生じたのかが書かれた書類であり、損益計算書と内容は同じです。利益ではなく公益を求めていることから、損益ではなく正味財産増減という形で書類をまとめています。したがって、正味財産増減計算書を読み解けば、損益計算書と同じように法人の運営状況を把握することができるでしょう。
企業会計とは何か
企業会計は、株式会社のような営利法人が行う会計のことです。企業会計では、取引の収支や資産の増減などを明らかにするべく書類をまとめていきます。企業会計では、経営者・債権者・取引先などの利害関係者に報告をすることが目的です。公益法人ほどの税制優遇措置を受けておらず、活動の便益を受ける相手も限られているため、利害関係者には国民や主務官庁が入らない点が公益法人会計との違いと言えるでしょう。
企業会計には、「真実性の原則」「正規の簿記の原則」「資本取引・損益取引区分の原則」「明瞭性の原則」「継続性の原則」「保守主義の原則」「単一性の原則」という7つの一般原則が存在します。企業会計の慣習の中で公正妥当と認められたものをまとめたルールです。一般原則は法律ではないので、守らなかったとしても違法とはなりませんが、結果として何らかの法律に抵触する恐れがあります。健全な企業会計を行いたいのであれば、7つの原則を守った方が良いです。
公益法人会計と企業会計で作成する書類の比較
次に、公益法人と通常の企業会計では作成する書類が違いますので、詳しく解説していきます。
公益法人会計で作成する書類
公益法人会計では、次のような書類を作成しなければいけません。
貸借対照表
財政の状態を表す書類
正味財産増減計算書
財産の増減を表した書類
キャッシュ・フロー計算書
事業年度機関における資金の増減を表した書類
附属明細書
貸借対照表と正味財産増減計算書の補足に用いられる書類
財産目録
法人が保有している財産を一覧にまとめた書類
作成しなければいけない書類の数が多いですし、内容によって細かく区分して書かなければいけません。区分について言うならば、正味財産を「指定正味財産」と「一般正味財産」に分けたり正味財産増減計算書の経常費用を「事業費」と「管理費」に分けるなど企業会計とは違う点があります。公益法人会計基準を深く理解している人が担当をしていなければ、基準に則した書類を作成することが難しいでしょう。
企業会計で作成する書類
一方企業会計では、次のような書類を作成することになります。
損益計算書
日々の取引で発生した収益と費用をまとめ、一事業年度の企業の経営状態を明らかにする計算書類
貸借対照表
資産(流動資産と固定資産)・負債・純資産をまとめて、企業の資産助教を示す書類
キャッシュ・フロー計算書
一時事業年度や四半期など一会計期間における営業活動・投資活動・財務活動など企業の行った活動によるキャッシュの流れを表した計算書類
株主資本等変動計算書
貸借対照表における純資産の部について、株主資本等の変動と変動の理由をまとめた書類
個別注記表
重要な会計方針・損益計算書・貸借対照表など、各計算書類に記載されていた注記をひとつにまとめた書類
企業会計では、株式会社・持分会社・合名会社・合資会社といった会社の種類によって作成が義務付けられている計算書類が変わります。さらに計算書類の承認・確定をする手続きも会社の種類によって違いがあります。会計報告を株主総会で報告するにあたって提出時期があるのですが、計算書類の元になる帳簿の記入ができていないと作成に時間がかかって期限内に間に合わなくなるでしょう。地道に会計処理を行うことが重要です。
公益法人会計に対応したソフト
公益法人会計に基づき書類を作成する際には、公益法人会計に対応したソフトを利用することで作業の負担が軽くなります。そこでおすすめしたいのが、公益情報システム株式会社の製品です。公益情報システム株式会社は、公益財団に特化した製品を提供しています。その製品は北海道から沖縄まで全国600団体以上で導入された実績を持っており、公益法人会計に対応したソフトを探しているのであれば理想的です。
公益情報システム株式会社の会計ステム『バランスマン会計システム』は、簿記の知識がなくても操作ができる簡単な設計になっています。同じことを何度も入力する必要がなく、貸借対照表など決算帳票の出力も容易ですから担当者は効率的に作業を進めることができるでしょう。加えて、担当者ごとに権限を設定することで、担当していないことが表示されることはなくなります。必要な情報だけに触れられるので、担当者は操作がしやすくなります。
公益法人会計の会計基準は、何度も改正を繰り返しているのですが事業によっては以前の会計基準に沿った報告書が必要なときもあります。『バランスマン会計システム』であれば、平成16年と平成20年の会計基準に対応しているので、必要に応じて使い分けが可能です。さらに高度なセキュリティーが施されていることも、『バランスマン会計システム』の魅力です。重要な会計情報が外部に流出することを防ぐために、世界的なSSL証明書を取得していますから安心して利用できます。
『バランスマン会計システム』では、クラウド版とオンプレミス版を用意しています。パソコンのスペックやネット回線の状況にあわせて最適な導入方法を選ぶ仕組みです。クラウド版であれば、ネット環境とある程度のスペックを持ったパソコンがあれば導入できるので設備の整っていない中小零細企業でも導入しやすいでしょう。
公益法人会計と企業会計の違いを理解して基準に則した書類を作成しよう
公益法人会計と企業会計の違いは、基準を適用する法人です。公益社団法人・公益財団法人など事業に公益性があると認められた法人であれば、公益法人会計の基準に基づき書類を作成します。公益法人会計では、書類の名称や会計処理が企業会計とは違うので注意が必要です。公益法人会計に対応したソフトを使うと、担当者は作業がしやすくなるでしょう。