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公益法人会計基準が改正!基準と改正内容について徹底調査


2025.03.03

公益法人会計基準が大きく改正されます。この改正は、公益法人の財務情報をより透明で分かりやすくすることを目指しています。2025年4月から適用開始となる新基準では、財務諸表の構成や開示方法が大きく変わります。

本記事では、改正の背景や具体的な変更点、そして新基準への対応方法について詳しく解説します。公益法人においては、この機会に新基準への理解を深め、円滑な移行準備を始めましょう。

公益法人会計基準の改正経緯と改正の概要

公益法人会計基準の改正は、透明性と効率性の向上を目指して行われました。この改正は、2024年5月の法律改正に伴う制度改革の一環です。新基準の適用は2025年4月以降に開始する事業年度からとなります。ただし、2028年3月までは旧基準の適用も認められるでしょう。

改正の主な目的は、財務情報をより分かりやすく開示することです。また、公益法人の柔軟な運営を可能にする財務規律の見直しも行われました。新基準では、財務諸表本表を簡素化し、詳細情報は注記等で記載します。

そのため、財務諸表の構造や情報開示方法が大きく変わります。公益法人は、この改正に適切に対応し、組織の信頼性向上につなげることが求められます。

公益法人会計基準の具体的な変更点

ここからは、公益法人会計基準の具体的な変更点を詳しく見ていきます。

財務諸表の構成変更

財務諸表の構成が見直され、より分かりやすい形式になります。貸借対照表では、資産区分が企業会計に近い形に変更されました。具体的には、従来の「基本財産」「特定資産」「その他固定資産」という区分がなくなります。代わりに「有形固定資産」「無形固定資産」「その他固定資産」という区分になります。

この変更により、資産の性質がより明確になるでしょう。また、純資産の区分も見直され、より詳細な情報が提供されるようになります。貸借対照表内訳表の作成方法も変更され、より詳細な情報開示が求められます。

活動計算書への移行

従来の「正味財産増減計算書」が「活動計算書」に変更されます。この変更は単なる名称変更ではなく、内容も大きく変わります。財源別区分が廃止され、活動の実態をより適切に示すことができるようになります。

また、従来の「一般正味財産増減の部」と「指定正味財産増減の部」という区分がなくなります。振替処理も廃止され、より分かりやすい表示になるでしょう。さらに、費用科目の表示も変更され、活動別の分類がより明確になります。たとえば、「公1事業費」「公2事業費」「収益事業費」「管理費」などの区分になります。

注記・附属明細書の拡充

財務諸表本表はシンプルになる一方で、注記や附属明細書の役割が大きくなります。詳細な情報は注記等で開示されることになり、財務情報の透明性が向上します。

たとえば、貸借対照表関連の注記では、会計区分別内訳や資産・負債の状況が詳しく示されます。活動計算書関連の注記では、財源区分別内訳や指定純資産の内訳などが開示されます。

加えて中期的収支均衡に関する情報や公益充実資金に関する情報も新たに加わります。これらの情報により、法人の財務状況をより深く理解できるようになるでしょう。

区分経理の原則化

新制度では、公益目的事業会計、収益事業等会計、法人会計の3区分経理が原則化されます。この変更により、法人の財務状況をより明確に把握することが可能になります。その結果、各事業の収支が明確になり、公益法人の活動実態を正確な把握が可能です。

また、区分経理の導入により、会計処理の方法や業務フローの見直しが必要になるケースもあるでしょう。特に財務諸表の作成プロセスや予算管理の方法については、検討が必要です。

新基準への対応の流れ

新しい公益法人会計基準への移行は、計画的かつ段階的に進めることがポイントです。

新基準の適用時期の確認

新基準の適用開始は2025年4月1日以降に始まる事業年度からです。ただし、2028年3月31日までは旧基準の適用も認められています。

この3年間の移行期間を有効に活用し、準備を進めましょう。各法人の事業年度に合わせて、適用開始時期を決定する必要があります。早期適用を検討する場合は、メリットとデメリットを慎重に検討しましょう。

内部体制の整備

新基準への対応には、会計処理方法の変更だけでなく業務フローの見直しも必要です。まずは現行の会計処理や業務フローを棚卸しし、課題を洗い出しましょう。

ここで財務諸表作成プロセスや予算管理方法の見直しが必要になる場合もあります。また、新基準に対応できる人材の確保や育成も重要な課題となるでしょう。場合によっては、外部の専門家に相談することも検討してください。

会計ソフトの導入

新基準に対応した会計ソフトの導入は、円滑な移行のカギとなります。公益法人向けの会計ソフトのなかでも「WEBバランスマン」がおすすめです。

WEBバランスマンは、公益法人の会計業務に特化した機能を搭載しています。特に伺書入力機能が標準装備され、作業の簡易化が図れる点が特徴です。

また、16年基準と20年基準両方の決算書出力が可能な変換マスタ機能も搭載しています。按分が必要な伝票も一度の入力で処理できる按分マスタ機能も便利です。

さらに、高度なセキュリティを確保しつつ、担当者別に細かな権限設定も可能です。クラウド版とオンプレミス版があり、自社の環境に合わせて選択できます。

教育・トレーニング

新基準の適用に伴い、会計担当者や関係スタッフへの教育が重要になります。なぜなら、新しい財務諸表の構造や注記の作成方法など、実務面での変更点を理解する必要があるからです。

そこで、内部での勉強会の開催や、外部セミナーへの参加を計画的に進めましょう。また、会計ソフトの操作研修もスムーズな移行には欠かせません。教育やトレーニングの計画は、十分な時間的余裕を持って立てることが大切です。

移行計画の策定と実行

新基準への移行は、現状分析から始め、課題の洗い出しと優先順位付けを行いましょう。次に具体的な移行スケジュールを作成し、中間目標を設定します。そこには会計システムの更新、業務フローの見直し、試行的な財務諸表の作成などを盛り込みます。

また、移行計画は、定期的に進捗をチェックし、必要に応じて見直すことが大切です。最終的には、新基準での本番運用に向けたリハーサルも実施しましょう。

公益法人会計基準の改正まとめ

公益法人会計基準の改正は、財務報告の透明性と効率性を高めるものです。そのため、財務諸表の構成変更や活動計算書への移行など、具体的な変更点を理解し、適切に対応することが求められます。

また、新基準への移行は段階的に進めることが大切です。適用時期の確認、内部体制の整備、適切な会計ソフトの導入、そして教育やトレーニングを計画的に実施しましょう。この改正を組織の信頼性向上のチャンスととらえ、前向きに取り組んでいくことが大切です。