公益法人の収支相償は、社会貢献を持続的に行うための基盤です。本記事では公益法人が益法人が収支相償の正しい値を出す方法などを解説します。以下に本記事で大切な点をまとめます。
- 公益法人は事業費を超える利益を出さず、余剰金を再投資することが求められる
- 2025年4月からの制度改正で財務規律や手続が見直され、柔軟な運営が可能になる
- 適切な収支管理により、法人の信頼性と持続可能な活動が支えられる
以上のポイントを踏まえ、収支相償について確認していきましょう。
公益法人における収支相償とは?
公益法人の「収支相償」とは、法人が事業費を超える利益を出さないようにする考え方です。公益法人は、利益を内部に溜め込むのではなく、公益目的事業に必要な資金を最大限活用し、無償または低価格でサービスを提供することが求められます。このようにして、受益者を広げ、社会に貢献することが目的と定められています。
具体的には、事業年度ごとに収入と費用を比較し、収支が均衡することが求められます。もし収入が費用を上回る場合、その差額は事業の発展や受益者の拡大に充てるための特定費用準備資金として積み立てます。そして、中長期的に収支が均衡していることが確認できれば、収支相償の基準を満たしているとみなされます。
このように、収支相償は公益法人が受ける税制優遇の重要な基礎となっています。利益が出た場合でも、翌年度までに無理に費消する必要はなく、計画的に解消することが可能です。
公益法人が収支相償の正しい値を出す方法
公益法人が収支相償の正しい値を出すためには、二段階の計算が必要です。まず、公益目的ごとの計算を行い、その後、利益の繰り入れを計算します。
第一段階:公益目的ごとの計算
第一段階として、各公益目的事業ごとに収支を計算します。この段階では、公益目的事業に関連する収入と費用を比較し、収支が均衡しているかを確認します。収入には寄付金、会費、助成金などが含まれ、費用には事業運営に必要な経費や人件費が含まれます。
ここでのポイントは、各事業が独立して収支を均衡させることです。その結果、特定の事業が他の事業の収益に依存せずに運営できるようになります。この計算を正確に行うためには、詳細な財務データの管理が重要です。
ここで役立つのが、WEBバランスマンのような会計ソフトです。WEBバランスマンを使うことで、複雑な会計処理も簡単に行え、正確な収支計算が可能になります。特に複数の事業を運営する場合には、各事業の収支を個別に管理することが求められるため有効です。
第二段階:利益の繰り入れの計算
第二段階として、収益事業からの利益を公益目的事業に繰り入れる計算を行います。この段階では、利益の50%を繰り入れる場合と、50%を超えて繰り入れる場合で計算方法が異なります。収益事業から生じた利益の50%を繰り入れる場合、損益ベースで計算します。具体的には、収益事業等からの利益額を公益目的事業会計に加算し、収支相償の基準を満たすように調整します。
この方法は、収益事業からの利益を公益目的事業に適切に振り分けるための基本的な手法です。50%を超えて利益を繰り入れる場合は、現金収支ベースで計算します。この方法では、公益目的保有財産の取得や売却による収入も考慮に入れます。
公益目的事業に係る資産取得資金として積み立てることで、長期的な事業運営に必要な資金を確保します。このようにして、公益法人は収支をより柔軟に管理し、公益目的事業の拡大を図ることが可能です。この二段階の計算を通じて、公益法人は収支相償を達成し、持続可能な運営につなげられるでしょう。
公益法人の収支相償に関連する制度改正
公益法人の収支相償に関連する制度は、2025年4月から大きく改正されます。この改正は、公益法人がより柔軟に資金を活用し、社会的な課題に対応しやすくすることを目的としています。具体的には、財務規律、行政手続、ガバナンスの三つの分野での変更が予定されています。各分野の改正点を詳しく解説します。
財務規律の見直しと明確化
これまでの制度では、公益法人は収支相償の原則に基づき、公益目的事業で費用を超える収入を得ることができませんでした。この厳しい規律が、法人の柔軟な資金活用を妨げる要因となっていました。
しかし、2025年4月からは、この規律が見直されます。新しい制度では、「中期的期間」での収支均衡を図ることが求められます。中期的期間は内閣府令で定められ、一般的には5年間が想定されています。この改正により、法人は長期的な視点で資金を活用し、将来の公益目的事業を充実させることが可能になります。
さらに、「公益充実資金」が創設されます。公益充実資金は公益目的事業の充実を図るための積立金として設けられ、特定費用準備資金や資産取得資金を統合したものです。法人は資金をより柔軟に管理し、必要に応じて目的の変更も可能になるでしょう。
また、遊休財産の名称が「使途不特定財産」に変更され、保有制限の範囲が拡大します。結果として法人は予見し難い事態に備えるための資産を保持しやすくなります。
行政手続を変更認定事項→変更届出事項に変更
従来、公益法人が収益事業等の内容を変更する際には行政庁からの認定が必要でしたが、2025年4月から届出制に変更されます。この変更で法人は事業内容をより迅速に変更でき、社会的なニーズに柔軟に対応できるようになります。手続きの簡素化は法人の負担を軽減し、事業展開の自由度を高めるでしょう。
ガバナンスや財務情報の開示による透明化を促進
ガバナンスの充実と透明性の向上も、今回の改正の重要なポイントです。新制度では公益法人に対して、公益目的事業、収益事業、経理法人運営の三つの区分で財務情報を開示することが義務付けられます。財務情報の開示により法人の活動が透明になり、社会からの信頼を得やすくなります。
また、理事や監事間の特別利害関係の排除や外部理事・監事の導入が公益認定の基準に追加されます。これにより、法人のガバナンスが強化され、適正な運営が確保されることが期待されます。
さらに、公益法人は事業報告にガバナンスの充実に向けた自主的な取り組みを記載する必要があります。法人は自らの運営の透明性を高め、社会に対する説明責任を果たすことが求められる改正です。
公益法人の収支相償によくある3つの質問
ここからは公益法人の収支相償によくある質問を3つご紹介します。
収支相償で発生した余剰金の扱い方は?
公益法人が事業年度末に余剰金を持つ場合、その扱いには注意が必要です。基本的に余剰金は公益目的事業のために再投資します。具体的な対処法は二つあります。まずは余剰金を特定費用準備資金として積み立て、将来の公益目的事業に使用する方法です。
具体的には次年度以降の事業拡大や新規プロジェクトの資金として活用できます。また、余剰金を翌年度の事業費に充当し、公益目的事業の充実を図ることが可能です。その結果、法人は持続的に公益活動を行えるでしょう。
解消計画の記載は?
余剰金が発生した際は、解消計画を策定し、具体的な記載が求められます。解消計画には、余剰金をどのように公益目的事業に使用するかを明確に示さなければなりません。たとえば、次年度の具体的な事業計画に余剰金を組み込み、どのように活用するかという記載などです。
解消計画の例として「次年度に新たな公益目的事業を開始し、その初期費用として余剰金を使用する」なども考えられます。解消計画を適切に記載することで法人は資金の透明性を保ちつつ、余剰金の計画的な活用が可能です。
公益法人は赤字でなければならないのか?
公益法人は必ずしも赤字である必要はありません。むしろ、健全な運営のためには黒字であることが望ましいです。ただし、過剰な黒字は避けるべきです。なぜなら、公益法人の目的は、利益を追求することではなく、社会に貢献することだからです。
そのため、黒字が出た場合は、速やかに公益目的事業に再投資することが求められます。公益法人が黒字を出すことは、財務基盤を強化し、持続可能な運営を支えるために重要です。しかし、過剰な黒字は、公益目的事業の充実に使われていないとみなされ、問題となる可能性があります。したがって、適切な収支管理が必要です。
公益法人の収支相償に関するまとめ
公益法人の収支相償は、事業費を超える利益を出さず余剰金を公益目的事業に再投資することで、社会貢献を持続的に行うための重要な基準です。2025年4月からの制度改正により、財務規律や行政手続、ガバナンスの透明性が強化され、法人はより柔軟に事業を展開できるようになります。
収支管理においては、WEBバランスマンのような会計ソフトを活用することで、複雑な会計処理も簡単に行え、正確な財務管理が可能です。効率的に運営につなげられるようにWEBバランスマンの導入をご検討ください。