電子帳簿保存法に関する情報は、近年ますます注目を集めています。その中でも、スキャナ保存については業務の効率化や省スペース化など、多くのメリットがあり便利です。しかし、スキャナ保存には注意点もあります。電子帳簿保存法におけるスキャナ保存のやり方やメリット・デメリット、そして注意点について、わかりやすく解説していきます。電子帳簿保存法に関する知識を身につけ、スキャナ保存を効果的に活用しましょう。
電子帳簿保存法のスキャナ保存とは
スキャナ保存制度は、国税関係書類における紙の原本をスキャナー等の機器で電子データに変換し、そのデータを保存することができる制度です。国税関係書類のうち、決算関係書類等(貸借対照表・損益計算書・棚卸表など)と国税関係帳簿(仕訳帳・総勘定元帳など)を除いた書類に保存することができます。
ただし、スキャナ保存された書類は、以下の要件を満たす必要があります。
原本と同じ内容であること
スキャナ保存された書類は、原本と同じ内容であることが必要です。つまり、スキャナーで読み取ったデータが原本と同じものであることを確認する必要があります。
原本と同じ形式で保存されること
スキャナ保存された書類は、原本と同じ形式で保存されることが必要です。たとえば、原本が紙の書類であれば、PDFやJPEGなどの画像ファイル形式で保存することが一般的です。
これらの要件を満たした書類であれば、紙の書類と同じように法的な効力を持ちます。ただし、スキャナ保存には、保存期間や保存場所などのルールがありますので、適切な方法で保存することが必要です。特に、国税関係書類については、保存期間が長く、保存場所にも注意してください。
スキャナ保存のやり方
スキャナ保存を行うためには、以下の手順が必要です。
スキャナーの準備
スキャナーを用意し、電源を入れます。また、スキャンする書類の種類に合わせて、解像度やファイル形式などの設定を行いましょう。
書類の準備
スキャンする書類を用意します。書類は、できるだけきれいな状態で、裏表を含めてすべてスキャンする必要があります。
スキャン
スキャナーに書類をセットし、スキャンボタンを押します。読み取りが完了したら、保存先を指定して、ファイルを保存してください。
バックアップ
スキャン保存したファイルは、複数の場所にバックアップを取ることが大切です。例えば、クラウドストレージや外付けハードディスクなどを使用して、保存先を分散させると安心でしょう。
スキャナ保存のメリットとデメリット
スキャナ保存にもメリットとデメリットがあります。
メリット
スキャナ保存のメリットには、以下のようなものがあります。
スペースの節約
紙の帳簿や記帳資料は、保存場所に困ります。スキャナ保存を行うことで、紙の帳簿や記帳資料を電子データに変換してスペースを節約することができます。
検索の容易性
スキャナ保存したデータは、キーワードを使って簡単に検索することが可能です。紙の帳簿や記帳資料よりも、検索の効率が向上します。
デメリット
一方、スキャナ保存のデメリットには、以下のようなものがあります。
コストの負担
スキャナーの購入やレンタル、保守費用などが必要になるため、初期コストが高くなります。また、スキャンにかかる時間や人件費も考慮しなければなりません。
データの漏洩リスク
電子データは、紙の帳簿や記帳資料よりも漏洩のリスクが高くなります。セキュリティ対策をしっかりと行うことが必要です。
スキャナ保存は、適切に行えば紙の帳簿や記帳資料よりも効率的で、スペースの節約にもなります。ただし、初期コストやセキュリティ面などにも注意が必要です。適切な方法でスキャナ保存を行うことで、法的な効力を持つ電子データを作成し、適切な記録管理ができます。
スキャナ保存するときの注意点
電子帳簿保存法におけるスキャナ保存は、適切な方法で行われることが必要です。以下に、スキャナ保存するときの注意点を解説します。
帳簿や記帳資料の種類による注意点
スキャナ保存できる帳簿や記帳資料は、上記の記事で解説したとおり、国税関係書類のうち、決算関係書類等(貸借対照表・損益計算書・棚卸表など)と国税関係帳簿(仕訳帳・総勘定元帳など)を除いた書類に限られます。また、スキャナ保存した書類は、原本と同じ内容であることが必要です。
スキャナーの品質による注意点
スキャナーの品質は、スキャンしたデータの品質に大きく影響します。スキャン品質が低い場合、文字が読み取りにくかったり、色が濁ってしまうなどの問題が生じることがあります。そのため、スキャナーの品質には注意が必要です。スキャナーの品質には、以下のような要素があるのでチェックしておきましょう。
解像度
解像度は、スキャンした画像の詳細度を表す数値で、dpi(dots per inch)で表されます。解像度が高いほど、詳細な画像を読み取ることが可能です。一般的に、300dpi以上の解像度があれば、文字や図形を読み取るのに十分な品質となります。
カラーモード
カラーモードは、スキャンしたデータの色の表現方法です。一般的に、カラーモードには、カラー、グレースケール、モノクロの3つがあります。カラーモードによって、スキャンしたデータのファイルサイズや品質が変わります。
輝度・コントラスト
輝度・コントラストは、スキャンした画像の明るさやコントラストを調整するものです。スキャンしたデータの品質に大きく影響します。輝度が足りないと画像が暗くなり、コントラストが足りないと、文字や図形が読み取りにくくなることがあるので注意してください。
以上の要素に注目して、スキャナーを選定することが重要です。一般的に、スキャン品質の高いスキャナーは、高解像度、多彩なカラーモード、輝度・コントラストの調整機能が充実しています。スキャナーの選定には、使用目的や予算などを考慮した上で、適切なものを選ぶようにしましょう。
ファイル形式による注意点
スキャンしたデータを保存する際には、ファイル形式にも注意が必要です。PDF形式やJPEG形式などの画像ファイル形式で保存することが一般的です。ただし、保存先によっては、ファイル形式に制限がある場合もあります。
セキュリティによる注意点
スキャナ保存したデータは、漏洩のリスクが高くなります。そのため、適切なセキュリティ対策を行うことが必要です。例えば、アクセス制限をかけたり、外部からの不正アクセスを防ぐための対策を行うことが望ましいです。
保存期間による注意点
電子帳簿保存法におけるスキャナ保存は、原本と同じ法的効力を持つため、適切に保存することが必要です。ただし、保存期間によって異なる注意点があります。国税関係書類については、以下のような保存期間が定められています。
- 決算関係書類等(貸借対照表・損益計算書・棚卸表など):7年間
- 資産台帳:7年間
- 国税関係帳簿(仕訳帳・総勘定元帳など):10年間
このように、国税関係書類については、長期間にわたって保存する必要があります。また、保存場所にも注意が必要です。スキャナ保存したデータは、紙の帳簿や記帳資料よりも漏洩のリスクが高いです。そのため、適切なセキュリティ対策を講じた場所に保存することが望ましいです。
なお、保存期間が満了したデータについては、適切に廃棄することが必要です。廃棄方法については、適切な方法で消去することが望ましいです。また、廃棄したデータについても、法的な効力があるため、適切な記録を残すことが必要です。
以上が、スキャナ保存するときの注意点です。スキャナ保存は、適切に行えば、紙の帳簿や記帳資料よりも効率的で、スペースの節約にもなります。ただし、初期コストやセキュリティ面、保存期間などにも注意が必要です。適切な方法でスキャナ保存を行うことで、法的な効力を持つ電子データを作成し、適切な記録管理を行うことができます。
電子帳簿保存法のスキャナ保存についてまとめ
電子帳簿保存法におけるスキャナ保存によって、紙の帳簿や記帳資料を保管する必要がなくなり、スペースを節約できます。スキャナ保存のやり方やメリット・デメリット、そして注意する点が多く難しく感じるかもしれません。スキャナーの品質にも注意し、電子帳簿保存法で定められたフォーマットで保存することが重要です。スキャンしたデータのセキュリティ管理にも十分な配慮が必要となります。