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電子帳簿保存法をわかりやすく個人事業主向けに解説!対応しない場合に罰則はある?


2024.03.01

法改正により、令和6年から個人事業主も電子帳簿保存法の対応が義務化されました。とはいえ、現状まだまだ対応に不慣れだったり、何から手をつけて良いか迷って困惑していたりする方も多いのではないでしょうか。

電子帳簿保存法について、大企業や中小企業向けの情報は多いものの、個人事業主の対応についてはまだまだわかりやすくまとめた情報が少ないのが現状です。そこで本記事では個人事業主に特化した電子帳簿保存法の概要や要件をわかりやすく解説してみました。

また、個人事業主でも売上が1000万円以下の場合や、会計システム導入を検討すべきかどうかについてもわかりやすく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

電子帳簿保存法をわかりやすく個人事業主向けに解説!

電子帳簿保存法をわかりやすく解説すると、原則として紙での保存が義務付けられていた帳簿類を、一定の要件を満たせば電子データで保存ができることを認めた法律のことです。

電子帳簿保存法では扱う書類によって、「電子帳簿保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3つに保存区分が分かれており、それぞれ次のような違いがあります。

  1. 電子帳簿保存…パソコンなどで電子データとして作成した電子帳簿類の保存
  2. スキャナ保存…紙の原本をスキャンでデータ化して保存したもので、領収書や納品書などが対象
  3. 電子取引…Webサイトなどからダウンロードした利用明細や領収書などが対象

1と2については任意ですが、3については2024年1月1日から義務化されており、個人事業主も注意して取り組んでいく必要があります。

なぜ個人事業主も電子帳簿保存法に対応する必要があるのか?

個人事業主でも事業によって所得がある場合は、確定申告の時に売上から経費を差し引いた利益に税金がかかります。そのため、事業所得から最大65万円を控除できる青色申告を行っている方も多いでしょう。

しかし2020年分の確定申告から、従来の記帳方法で青色申告をしている方は控除額が55万円に減額されています。そのため、これまで通り最大65万円の控除を受けるためには、従来の青色申告の条件に加えてe-Taxによる申告または優良な電子帳簿保存が必要です。

わかりやすくまとめると、個人事業主でも電子帳簿保存法に対応しておいたほうが税制面でのデメリットを減らすことができるということになります。

電子帳簿保存法で個人事業主が対応すべきことは何?

電子帳簿保存法において個人事業主が対応するべきことは、「電子取引」に関する部分です。電子取引とはメールやインターネット、クラウドサービスなどを通じて行われる取引のことで、これらを行っている個人事業主は領収書等の電子データ保存が義務化されました。

そのため、個人事業主がまず対応すべきことは、現在行っている電子取引の確認・使用している会計システムの見直し・保存ファイル名の統一の3点です。電子取引の保存は、データが正当なものであることを証明する「真実性」と、保存したデータを速やかに閲覧できる「可視性」の両方を確保することが要件です。

そのため、まずは今行っている電子取引を全て洗い出し、現在使っているシステムでそれらのデータを電子保存できるかどうか確認しておく必要があります。電子データに可視性を持たせて保管するためには、次に挙げる全ての要件を満たす必要があります。

  1. 操作用の機器やプリンタなどの出力機器を操作説明書とともに備え付ける
  2. システムの使い方がわかる概要書などを備え付けておく
  3. 日付・取引金額・取引先等を取りまとめて検索機能を確保する

3についてはファイル名に「日付・取引金額・取引先」の3つを最低限入れれば、Excelなどの表計算ソフトでも管理が可能です。しかし、取引先の件数が増えるほど処理は複雑になり、手入力で管理するには限界があるため、必要であれば会計システムを導入するのも一つの手段でしょう。

電子帳簿保存法は個人事業主で1000万円以下の場合も対応が必要?

結論からいえば、前述したとおり売上1000万円以下の個人事業主も電子帳簿保存法への対応は必要です。

先ほど、情報の可視性確保のために「ファイル名を統一して管理する」ということを推奨しましたが、1,000万円以下の個人事業主の場合は緩和措置が取られており、こちらの対応は任意になります。義務ではありませんが、事業規模が大きくない場合でも一貫したデータ管理を行うことで、データの管理がしやすくなり、結果として業務効率化につながるでしょう。

電子帳簿保存法は対応が面倒と思われがちですが、正しく対応すれば個人事業主にのしかかる会計処理の負担を軽減することにもつながるのです。

個人事業主が電子帳簿保存しないとどうなる?

電子帳簿保存法は、2024年1月から一部“義務化”されているので、すべての個人事業主は原則として対応が必須となっています。対応しなかった場合、悪質であるとみなされれば会社法第976条(過料に処すべき行為)の違反として100万円以下の罰金が科せられる可能性もあるでしょう。

万が一、電子帳簿保存法に対応しないと、どのようなリスクがあるのか詳しく解説していきます。

個人事業主が電子帳簿保存法に対応しない場合のリスク

個人事業主が電子帳簿保存法に対応しない場合、次のようなリスクが考えられます。

  • 会社法違反の罰則を受ける
  • 追徴課税が課せられる
  • 青色申告が取り消される

令和4年の法改正により、データ保存時に不正や改ざん、申告漏れがあった際は課税額にプラス10%の重加算税が科せられるなど、よりペナルティが厳しくなりました。「電子帳簿保存法を導入しない=不正や改ざんの可能性がある」と疑われやすくなることから、承認された青色申告が取り消される可能性もゼロではありません。

このように、個人事業主だからといって対応を軽んじていると、大きな損失がのしかかることになりかねません。電子帳簿保存法について正しい知識を身につけ、自分に合った適切な対応を見直していきましょう。

電子帳簿保存法に対応しておくメリット

一方で、個人事業主が電子帳簿保存法に適切に対応することで次のようなメリットが得られます。

  • 業務効率化
  • ヒューマンエラーの防止
  • 書類の保管・管理が楽になる
  • 必要書類を検索しやすくなる

中でも、最も大きな恩恵といえるのが「業務効率化」です。個人事業主は本来の業務に加えて会計に関する部分も個人で行っていく必要があるため、少しでも負担を軽減できるのは嬉しいポイントです

電子帳簿保存法では会計システムの導入がおすすめ

個人事業主の場合も、電子帳簿保存法への対応は会計システムの導入がおすすめです。ここからは、個人事業主が会計システムを導入するメリットや、おすすめの会計システムの選び方を紹介していきます。

個人事業主が会計システムを導入するメリット

個人事業主が会計システムを導入すると、次のような4つのメリットが得られるでしょう。

  1. 電子帳簿保存法の要件に合わせた正確な対応ができる
  2. 業務が効率化できる
  3. 不要なコストが削減できる
  4. 最新の法改正にも対応できる

会計システムはテンプレートに沿って機械的な情報処理ができ、正しい情報に沿った保存方法を誰でも実践できるので、結果として業務効率化を図ることができます。また、データは全てシステムに格納されるので保存場所の確保や、印刷するための紙など不要なコストを削減することも可能になります。

また、法改正が繰り返される電子帳簿保存法について、担当者は知識の補填に頭を悩まされる方も多いでしょう。そんな時、会計システムを導入しておけば自動で最新情報が更新されるので、担当者に新たに必要になる対応の負担軽減にもつながります。

個人事業主におすすめな会計システムの選び方

とはいえ、数ある中からどんなシステムを選べば良いか迷われる方も多いかもしれません。個人事業主の方は、できれば導入の初期費用を抑えたいという声が多く、次のような無料プランが試せる会計ソフトを選ぶのがおすすめです。

ソフト名特徴無料プラン
SATSAVE・クラウドサービスなのですぐに導入できる
・電子、紙スキャンのPDF文書を一元管理できる

(無期限、500MBまで)
ジョブカン青色申告・直感的に入力できるデザインで初めてでも使いやすい
・案内に沿って質問に答えるだけで確定申告書ができる

(30日間)
バクラク電子帳簿保存・高精度なAI自動読み取り機能でデータ化がスムーズ
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(無期限、保管書類の上限月200件まで)
※AI書類の読み取りはお試し5件まで
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・決算書や元帳を自動で作成

(申込月の翌月末まで)
freee会計・銀行やクレジットカードから自動で明細を取得
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(最大1ヶ月間)
マネーフォワードクラウド確定申告・インボイスなどの制度改正にも対応している
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・銀行明細やクレジットカードのデータを自動で取り込んで仕分けができる

(1年間)
楽楽電子保存・「楽楽明細」で受け取った帳票を一元管理できる
・検索機能などでもの要件にも対応

(無期限)

これらのソフトは電子帳簿保存法にも対応しており、必要であれば有料プランへのアップグレードも可能です。

まとめ

今回は、個人事業主の方に向けて、電子帳簿保存法の概要や要件を解説しました。

個人事業主であれば、本来の業務に加えて経理も自分で対応しなければならないこともあります。さらに、新たに義務化された電子帳簿保存法への対応に困惑している方も多いでしょう。急いで対応しなくてはと焦る気持ちもあるかもしれませんが、まずは個人事業主が対応すべきポイントを抑え、本記事を参考に現在のフローを見直してみましょう。