電子帳簿保存法の改正により、タイムスタンプの要件が変更されたことをご存知でしょうか?
多くの企業が、この変更にどう対応すべきか頭を悩ませています。
「タイムスタンプって本当に必要なの?」「どんな条件なら不要になるの?」といった疑問をお持ちの方も多いはずです。
そこで、本記事では電子帳簿保存法におけるタイムスタンプの役割、不要となる条件、そしておすすめの会計ソフトまで、詳しくご紹介します。
電子帳簿保存法のタイムスタンプとは
電子帳簿保存法のタイムスタンプは、電子文書の信頼性を確保する技術です。
簡単に言えば、電子文書にデジタルの「日付印」を押すようなものとなります。
このタイムス担務の技術により、文書がいつ作成されたか、またその後改ざんされていないかを証明することが可能です。
また、タイムスタンプは、信頼できる第三者機関が発行します。
この機関が、文書のデータと正確な日時情報を結びつけ、その結果、電子文書の存在時刻と完全性が保証されます。
タイムスタンプは、電子文書を長期保存する際に特に大切なな役割を果たします。
紙の文書と違い、電子文書は目に見えない形で改ざんされる可能性があり、この技術があれば、何年経っても文書の信頼性を確認できるのです。
電子帳簿保存法でタイムスタンプが不要な場合の条件・要件
電子帳簿保存法の改正により、特定の条件を満たせばタイムスタンプが不要になりました。
具体的にどのような場合にタイムスタンプが不要となるのか見ていきましょう。
電子取引データの保存方法による選択
改正後の電子帳簿保存法では、電子取引データの保存方法に3つの選択肢が設けられました。
それぞれの特徴を押さえておくことが大切です。
- タイムスタンプを付与する方法
- データの訂正削除を防止する方法
- 訂正削除の履歴が残る方法
このうち、2と3の方法を選択した場合、タイムスタンプは不要となります。
各方法には長所短所があるため、自社の業務フローに合わせて最適な選択をすることがポイントです。
データの訂正削除を防止する方法
この方法では、電子取引データを改ざんできないようにします。
具体的には以下の対応が求められます。
- 電子取引データの保存後に、そのデータを上書きや削除ができないようにする
- 電子取引データの保存時に、読み取り専用の属性を設定する
- 電子取引データを保存するフォルダに、システム的な制限をかける
これらの対策により、データの信頼性が確保されるため、タイムスタンプが不要となるのです。
この方法は、特に大量のデータを扱う企業や厳格な情報管理が求められる業種に適しているでしょう。
訂正削除の履歴が残る方法
この方法では、電子取引データの変更履歴を残すことで信頼性を担保します。
具体的には以下のような対応が必要です。
- 電子取引データを訂正または削除した場合に、その履歴を自動的に記録する
- 訂正削除の履歴には実施者や実施日時、内容を含める
- これらの履歴を電子取引データと共に保存する
このように変更の痕跡を残すことで、タイムスタンプなしでもデータの信頼性が確保できます。
この方法は、データの修正が頻繁に発生する業務や柔軟な運用が求められる場合に適しているでしょう。
ただし、履歴管理のための追加的なシステム構築が必要になる可能性があります。
事務処理規程の整備
タイムスタンプを不要とするには、もう1つの要件があり、それは事務処理規程の整備です。
この規程には以下の内容を盛り込む必要があります。
- 電子取引データの取扱いに関する責任者や事務担当者の明確化
- 電子取引データの保存方法や保存場所の具体的な指定
- 電子取引データの保存期間中の毀損や滅失を防ぐための措置
- 電子取引データの改ざん防止のための実施体制や手続きの明確化
これらを明文化し、実際の業務でも遵守することが求められます。
規程の整備は、単なる法令遵守だけでなく、社内のデータ管理体制を見直す良い機会にもなるでしょう。
また、この規程は定期的に見直し、必要に応じて更新することも大切です。
社内外の環境変化に応じて、常に最適な状態を保つことが求められます。
電子帳簿保存法でタイムスタンプが必要な理由
電子帳簿保存法でタイムスタンプが必要とされる主な理由は、電子データの信頼性を確保するためです。
先述のとおり、法改正によりタイムスタンプが不要になる場合もありますが、その便利さは変わりません。
まず、タイムスタンプは電子データの存在時刻と非改ざん性を証明します。
そのため、取引の正当性や記録の適時性が保証され、税務調査などの際に、データの信頼性を簡単に示せるでしょう。
また、タイムスタンプは長期的な証拠能力の維持にも役立ちます。
電子データは紙と違い、変更の痕跡が残りにくいものです。
しかし、タイムスタンプがあれば、時間が経過してもデータの真正性を証明できます。
さらに、タイムスタンプは業務の効率化にも有効です。
データの作成日時や更新履歴が明確になるため、文書管理が容易になるのです。
法的要件を満たす他の方法を選択しても、タイムスタンプを併用する有効性があります。
たとえば、重要な契約書や機密性の高い文書には、念のためタイムスタンプを付与するといった使い方が考えられます。
結局のところ、タイムスタンプは電子データの「信頼の証」です。
法的要件の有無にかかわらず、その価値は変わりませんので、自社の状況に応じて、柔軟に活用することをおすすめします。
電子帳簿保存法のタイムスタンプでおすすめな会計ソフト
ここでは、タイムスタンプ機能を備えた3つのおすすめ会計ソフトを紹介します。
それぞれの特徴を押さえて、自社に最適なものを選んでください。
WEBバランスマン
WEBバランスマンは、公益法人向けに特化した会計ソフトです。
クラウド版とオンプレミス版があり、企業のインフラ環境に合わせて選択できます。
このソフトの最大の特徴は、本格的な予算管理機能です。
非営利組織にとって、予算管理は極めて重要です。
WEBバランスマンなら、精度の高い予算管理が可能になるでしょう。
また、伺書からの入力機能が標準装備されており、支出伝票への引き継ぎがスムーズになります。
さらに、16年/20年会計基準両方の決算書出力が可能な点も特徴です。
他にも、按分マスタ機能を活用すれば、会計や事業で按分が必要な伝票も、一度の入力で処理できます。
freee会計
freee会計は、クラウド型の会計ソフトとして人気を集めています。
直感的な操作性が特徴で、会計初心者でも使いやすいのが特徴です。
このソフトは、電子帳簿保存法に完全対応しており、タイムスタンプ機能はもちろん、データの訂正削除履歴の記録など、法令遵守に必要な機能が揃っています。
自動仕訳機能も搭載され、銀行口座やクレジットカードと連携することで、取引データの自動仕分けが可能です。
さらに、レポート機能も充実しており、経営状況を視覚的に把握できるグラフや表が自動生成されます。
MFクラウド会計
MFクラウド会計は、中小企業向けのクラウド会計ソフトです。
使いやすさと機能の充実度のバランスが取れています。
このソフトの特徴は、AIによる自動仕訳機能です。
学習機能により、使えば使うほど精度が向上しするため、日々の経理作業の負担が大幅に軽減されるでしょう。
電子帳簿保存法への対応も万全であり、タイムスタンプ機能はもちろん、改ざん防止機能や検索機能など、法令遵守に必要な機能が揃っています。
また、多彩な連携サービスも特徴です。
給与計算ソフトや請求書作成ソフトなど、他のビジネスツールとシームレスに連携でき、業務の一元管理が可能になるでしょう。
電子帳簿保存法のタイムスタンプの不要要件についてまとめ
タイムスタンプは電子データの信頼性を保証する重要な技術ですが、適切な代替手段を講じれば不要となる場合もあります。
ただし、その選択には慎重な検討が必要となり、自社の業務フローや管理体制を見直し、最適な方法を選ぶことが大切です。
また、会計ソフトの選択も重要なポイントとなります。
ぜひ、本記事を参考に、自社に最適な対応策を見つけてください。