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電子帳簿保存法でタイムスタンプは不要?


2025.01.15

改正電子帳簿保存法が施行されてから、ルールが短期間のうちに大きく変わっています。今年の2024年1月1日には電子データでの保存が完全義務化され、本格的な経理処理のルールが開始されています。

特に、電子帳簿保存法は税務と関係が深く、公式説明も回りくどく細かいルールが非常に多いことです。そのため、ルールすべてを一度で把握し切るのが難しく、事業者が会計・事務処理に余計な労力が発生しています。特に要件が細かいタイムスタンプは、十分な理解とルールの把握が必要です。

そこで、事業者の方やこれから事業を始める方にわかりやすく解説していきます。電子帳簿保存法でタイムスタンプが不要なケースや、たとえ不要であってもタイムスタンプを付けておくメリットについてもこの記事でわかるようになるでしょう。

電子帳簿保存法のタイムスタンプとは

電子帳簿保存法のタイムスタンプとは

電子帳簿保存法では、保存した書類が「原本であることを証明する」ために使われる技術が「タイムスタンプ」です。請求書や契約書などの電子取引データを電子保存することが義務付けられています。タイムスタンプが付いた書類は、公的に「改ざんされていない」と証明できるのです。

改ざん防止の背景

改ざん防止の背景には、経費を水増しして課税額を低く抑える業者の存在があります。改ざんの有無を確認できる電子証明の仕組みが必要だったのです。そこで、第三者の認定事業者がタイムスタンプを付与した「その時刻以前に電子データがあった」ことを証明します。

タイムスタンプを付与する日数

電子帳簿保存法では電子取引のデータやスキャンするデータを原則的に「7日以内、長くても2ヶ月以内」としています。これは、2019年の改正時には3日以内としていたものです。期間を短くすることで改ざんを防ぐことが理由です。しかし、期間が短すぎても実態に合わないため、引き伸ばされています。

電子帳簿保存法でタイムスタンプは不要?

電子帳簿保存法でタイムスタンプは不要?

タイムスタンプは必要な場合と不要な場合があります。それぞれで異なる要件が設けられています。

必要な場合

まず、タイムスタンプが必要な場合は、電子データやスキャンした書類の受領者が「改ざんできないシステムを使って保存していない」場合です。もしくは、「事務処理の規定を定めていない」場合です。タイムスタンプは改ざん防止を目的としているため、「タイムスタンプがないとデータが原本と証明できない」ときに必要となります。

不要な場合

一方で、タイムスタンプが不要になるのは、受け取る側が改ざんできないシステムを使うときです。例えば、「クラウドサービスのデータの訂正・削除に履歴が残る」という場合や、「データの変更自体ができないシステムを採用している」という場合です。

タイムスタンプが不要になった理由

2022年の改正で要件が緩和されたことが、タイムスタンプが不要となった背景にあります。タイムスタンプは毎回付与する必要があり、手間もかかるため、経理・税務事務の圧迫を引き起こしたのです。これを受けて、タイムスタンプは全体で必須なものから、一部のみスタンプ付与を必要とする先の要件に変更されています。

電子帳簿保存法の改正内容

電子帳簿保存法は、2020年以降、二度の大きな改正が起きています。そのため、改正の内容を正確に押さえておく必要があります。

2022年改正内容

まず2022年改正では、電子データを紙で保存することが原則禁止となり、取引データを電子保存することが義務付けられています。例えば、データをプリントアウトして保存するのは禁止ということです。

2024年改正内容

2024年には、電子取引のデータは紙での保存が一切できなくなっています。具体的には、「宥恕措置」期間が終了して、完全な電子データ保存の義務化が開始されます。概ね7日以内にタイムスタンプが付与されないと法令違反になり注意が必要です。

「宥恕措置」とは、すぐには電子保存が難しく資金や人手など「相当な理由」がある事業者を対象に、「紙による保存を認めていた期間」のことです。

2024年の1月1日から適用された変更点では、完全義務化以外にも、スキャナの保存で要件が緩和されて「解像度」や「入力者情報」を保存した情報が不要となったのです。余計な情報の入力がいらず、保存が楽になっています。

電子帳簿保存法でタイムスタンプが必要な理由

タイムスタンプが必要になる理由は、「改ざんされていない証明」が納税では大事です。特に経費や領収書、契約書は正確なデータを保存する必要があります。

不要でもタイムスタンプを付与する理由

要件緩和が起きて「タイムスタンプなし」でもデータの保存をできるようになったことは大きな変更点です。しかし、タイムスタンプが不要になったとしても、あると便利な理由、付与すべき理由があります。それは、タイムスタンプには公的な証明が可能となり、信頼性が増すことです。

タイムスタンプには電子帳簿保存法の国が定めた業者が付与することが決められており、公的な証書に近いものです。労働裁判や税務訴訟が起きた際に、電子帳簿保存法に則ったタイムスタンプのある電子データは、裁判の公的な証拠として扱われます。つまり、一般の会計ソフトに保存された改ざん不可のデータよりも、タイムスタンプで改ざんがないことが証明されたデータは大きな証拠となりえるのです。

また、日時を証明する形でデータの存在が裁判所に認められるため、電子署名にはない法的な効力を示します。同時に、改ざんのない信頼できる書類としても相手に示すことができるのです。取引相手は安心して電子データを受領し、税務・会計処理が可能です。

電子帳簿保存法のタイムスタンプでおすすめな会計ソフト

電子帳簿保存法では、経理を効率的に行う上で、タイムスタンプの要件を満たした会計ソフトが必要です。特に、JIIMA認証があるものがおすすめです。以下に、3つの会計ソフトを紹介します。

ジョブカンDesktop会計|株式会社ジョブカン会計

出典:株式会社ジョブカン会計

ジョブカンDesktop会計は、「優良な電子帳簿」の機能を承認された会計ソフトです。JIIMA認証(認証番号103800-00)の電子帳簿保存法に対応していることを明記しており、アップロード時の自動タイムスタンプ付与機能があります。検索機能も搭載しており、優良な電子帳簿の要件で取引情報における「検索機能の確保」にも活用できます。明細書の連携機能や法改正への対応プログラムの提供など、便利な機能が多数あっておすすめです。

WEBバランスマン|公益情報システム株式会社

出典:公益情報システム株式会社

WEBバランスマンは、公益法人が簡単に法改正への対応などができる会計ソフトです。代表的な機能には「伺書入力」の機能や「16/20年会計基準」の出力機能があり、事業者の会計入力作業を効率化します。電子帳簿保存法への対応ではJIIMA認証の「ClimberCloud」があります。2024年までの法改正に対応しており、タイムスタンプの付与から検索機能、電子データの関連性の確保まで可能です。また、ファイル読み込み時には手動・自動の一括登録ができておすすめです。

マネーフォワード クラウド会計

出典:MoneyForwardクラウド会計

クラウド型のシステムで「優良な電子帳簿」の要件を満たせる会計ソフトです。JIIMA認証(認証番号104400-00)の電子帳簿保存法の対応により紙保存の必要ないデータの保存を自動で行えるシステムを採用しています。多くの利用者がソフトを使うことで得たフィードバックにより自動仕分けや自動入力の機能に優れています。すでに利用者は4万名を超えており、士業事務所では特に人気です。中小企業が電子帳簿保存法に対応する環境をいち早く整えるためのソフトとしてもおすすめです。

電子帳簿保存法のタイムスタンプの要不要についてまとめ

以上、電子帳簿保存法では、タイムスタンプが必要になる場合と、不要になる場合があります。改ざんできないシステムを書類の受領者側が用意していない場合は、タイムスタンプが原則必要になります。一方で、改ざんの難しい訂正・削除履歴の残るクラウドシステムでは、タイムスタンプを省くことが可能です。しかし、タイムスタンプには法的な効力や信頼性を得られるメリットもあるため、タイムスタンプの付与できる会計ソフトをおすすめします。