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国税庁が公開した電子帳簿保存法とは?


2023.12.01

国税庁がホームページやメディア向け資料で公開している電子帳簿保存法の内容は、企業が税法関連の書類を適切に保存・管理するために理解しておく必要があります。しかし、この電子帳簿保存法のことがよくわからず、企業としてどう対応すべきか分からないというケースもあるかもしれません。そこで、今回は電子帳簿保存法に対応する手順やおすすめソフト、困ったときに相談したい国税庁の相談窓口を紹介します。

国税庁が公開した電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法は、経理の電子化やテレワークなどに対応するための「電子帳簿等保存制度」を支える法律の1つです。電子帳簿等保存制度とは、会計ソフトなどの電子データを利用した帳簿や領収書の保存方法を定める制度設計のことです。制度全体は法律に則ってガイドラインを定めています。制度自体はシンプルですが、対応方法が複雑に定められているため、経理に詳しい人でも法改正後のやり方に対応できず、間違った対応をしてしまう可能性があるかもしれません。

電子帳簿等保存制度が大きな枠組みで、電子帳簿保存法は実際のルールを定めています。その中で電子帳簿保存法は、電子データで取引先企業と請求書のやり取りをした際に、データをどのように取り扱うかなどを決めています。定められたルール通りに書類を保存・管理しないと正式な経理書類として認められません。

電子帳簿保存法を国税庁が公開している理由

国税庁が電子帳簿保存法の情報を公開している理由は、各種税法(法人税法や所得税法)との関わりが深いためです。例えば、「国税関係帳簿書類」(国税関係帳簿仕訳帳、売上台帳、総勘定元帳、仕入台帳等)の電子情報を7年間保存する義務があります。さらに、申告漏れで過少申告加算税が加算される場合、5%の軽減が受けられるなどの国税のアドバンテージがあるなど、いざというときの税負担にも影響するのです。

電子帳簿保存法は何度も改正されているため、経営者や経理の方は、国税庁のホームページで変更点や改正ポイントを新法適用前に確認する必要があるでしょう。しかし、制度が複雑で細かい条件が適用される税制を反映しているため、帳簿作成や管轄組織への書類提出時には、経理処理のミスや書類の不備などが起こりやすいのです。そのため、企業の経理部署などでは、最新の電子帳簿保存法に対応できるクラウドベースの会計ソフトを導入することが効率的でしょう。

国税庁が決めた電子帳簿保存法に対応する手順

以下に、企業が電子帳簿保存法に対応する手順をまとめて以下に紹介します。

電子帳簿保存法と制度を確認する

電子帳簿保存法は、部分的な変更が何度も繰り返されているため、法律の改正があれば都度変更点を把握しましょう。このとき、自社が電子帳簿化する目的や課題を明確にすることも忘れてはなりません。以前のやり方では事業ができない電子化の拡大はビジネスでも増えています。紙の書類ではない電子データに切り替える、取引先に対応するなど、電子帳簿保存法に基づいた方法で社内の方針を決めると良いでしょう。

法律に対応した書類保存のルールを社内に浸透させる

書類保存のルールを知り、電子帳簿保存法に基づいた方針で請求書や領収書を処理する場合には、経営層や経理の対応だけでなく社内への方針転換を通達し、ルールを根付かせる必要があります。例えば、電子メールに請求書の情報が記載されている場合は、その電子メール自体を決められた期間保存する必要があります。また、電子取引データの扱いによっても保存方法は違ってきます。「スキャナ保存」「電子取引」などの方法によっても、登録期間や確認事項も異なるため、保存のルールは要チェックです。例えば、スキャナ保存は最長2年と7営業日、電子取引は受領後即座に、と保存期間が決まっています。

社内に知らせる方法は、メールやチャットツールなどを使った末端社員への通知だけでなく、掲示板への張り出しや対面コミュニケーションにより説明してルール定着を促すなど、組織内部に浸透させることが重要です。

会計ソフトの導入

実際に請求書や財務諸表を取り扱うときに、会計ソフトを導入すると法改正に対応しやすいでしょう。人的ミスを防ぐためには自動的に処理・計算が行われることが理想です。自社に合ったソフトを選択して導入しましょう。

書類作成・提出時のポイントや注意点のチェック

関係各所や地域管轄の税務署に電子帳簿保存法対応の書類を提出するときは、書類の作成例や規定を確認します。国税庁のサイトには、「参考資料(各種規程等のサンプル)」(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/0021006-031.htm)があるので、必要に応じて確認しながら書類の最終チェックを進めましょう。会計ソフトを導入した場合は、書類のテンプレートや作成例などを参照できる機能を持つケースもあるため、機能を活用しながら作成や提出までできるでしょう。

電子帳簿保存法に対応している会計ソフト3選!

この章では、電子帳簿保存法に対応している会計ソフトを3つ紹介します。

WEBバランスマン

「WEBバランスマン」は、公益法人向けに開発された電子帳簿保存法に対応している会計ソフトです。クラウド版とオンプレミス版があり、企業の環境に合わせた選択が可能です。ソフトには「収入支出伺書入力」や「16/20年会計基準 出力機能」、「決算帳票」など、会計ソフトに必要な機能が多数あります。なかでも「指定管理業務収支状況報告書(オプション機能)」では、電子帳簿保存法に対応した書類を自治体のレイアウトに合わせて作成できるため、自治体に向けた提出物が多い公益法人には特におすすめです。

https://www.koueki.info/accounting/

マネーフォワードクラウド会計

「マネーフォワードクラウド会計」は、電子帳簿保存法に対応し、多くの有名企業が使用している会計ソフトです。機能を使ったデータ連携が素早く、自動仕分けで操作が比較的簡単であることが特徴です。「仕訳入力」や「決算書の作成」、「決算関連書類」の出力など、電子帳簿保存法を踏まえた提出書類を作ることができます。

https://biz.moneyforward.com/accounting/

ジョブカン会計

「ジョブカン会計」は、電子帳簿保存法に適応した電子帳簿保存やスキャナ保存、電子取引などを「そのままデータ保存」できる会計ソフトです。ジョブカン機能を使うことで青色申告の書類も簡単に作成が可能で、書類を印刷したり、他でデータ保存したりすることなく、そのまま保存管理できます。

https://www.jobcan.biz/

国税庁に電子帳簿保存法について聞きたい時の窓口

電子帳簿保存法の疑問点や悩みなどを解決するために、国税庁は専用のサイト(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/sodan/denwa-sodan/index.htm)で相談を受け付けています。電子帳簿保存法に関しての具体的な窓口は以下の3つです。

(1)国税庁ホームページで調べるときにサポートしてくれる「チャットボット(ふたば)」と「タックスアンサー(よくある質問)」
(2)電話相談
(3)税務署での対面相談

まず(1)は、自主的に調べることを前提としてAIやサイトを活用する方法です。(2)は、国税局電話相談センターに電話して直接相談するというものです。(3)は、地域の税務署に電話して、来訪時に担当職員が面談形式で対応する形です。これらの中から、自社にあった相談方法を選ぶことがます。

利用の流れとしては、最初に自分で調べて、そのときにチャットボットAIのふたばなどを活用しましょう。それでも疑問点が払拭されない場合は、電話相談や対面相談を受けると良いでしょう。

国税庁が公開する電子帳簿保存法の対応や手順、相談方法をチェックしよう

今回は、国税庁が公開した電子帳簿保存法について、手順やおすすめの会計ソフト、国税庁の相談窓口を紹介しました。電子帳簿保存法は、改正した内容に都度対応する必要があるため、企業が早々に方針を決めなければなりません。そのときに手順の問題や不安点が出てくるかもしれません。この記事を読んで解決しなければ、国税庁の問い合わせ窓口に早めに相談するのが良いでしょう。