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電子帳簿保存法の保存期間はどれくらい?個人事業主との違いや対応ソフト


2023.10.03

電子帳簿保存法は、技術進展に伴い、企業や個人事業主が電子的な形式で帳簿や関連資料を保存することを認める法律として制定されました。この法律は、法人や個人事業主は帳簿等を原則7年間、特定の条件下では10年間保存する必要があります。特に公益法人のように、多岐にわたる会計処理を行う組織にとって、欠かせない要件です。今回は電子帳簿保存法について保存期間や管理におすすめのソフトを紹介します。

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法は、情報技術の急速な進展を背景に、2001年に制定されました。この法律は、企業や個人事業主が紙ベースではなく電子的な形式で帳簿や関連資料を保存することを認めるものとです。以前は、企業や個人事業主は紙の帳簿を物理的なスペースに保存する必要がありましたが、電子帳簿保存法の導入によって、物理的なスペースを取らずに情報を保存できるようになりました。

この変革は、経営の効率化やコスト削減にも寄与しています。電子データの保存は、データベースとしての情報の検索や分析が容易となり、また、災害などのリスクからの回復も迅速に行えるため、企業経営におけるリスク管理の観点からも非常に有効です。しかし、電子的な保存には一定の要件が求められています。電子記録の真正性と可読性を確保するため、保存する電子データの操作履歴や定期的なバックアップ、さらにはデータの損失や破損に備えた復旧策の確立が必須とされています。

2022年1月からは電子帳簿保存法が改正され、「メールなどの電子取引の書類は、電子データのまま保存しなければならない」という制度に変更になりました。電子取引をする際には、上記のような要件をしっかりと遵守する必要があります。このような背景を踏まえ、企業や個人事業主は、最新の情報技術と法律の要件をバランスよく取り入れながら、効率的な経営を追求していくことが求められています。

電子データの保存期間

ここでは電子データの保存期間の紹介をします。

法人と個人の保存期間は原則7年

保存期間とは、税務上や法律上で求められる、帳簿や関連する書類・記録を一定期間保管・保存することを指します。この保存期間は、税務当局が過去の取引や経営状態を確認できるように設けられています。実際のところ、税務調査などで必要とされるデータや情報は、過去のものであることが多いのです。

法人と個人事業主の帳簿等の保存期間が原則7年間とされているのは、この期間内であれば、多くの税務上の疑問点や不整合が明らかになると考えられているからです。例えば、過去の所得の計算誤りや、課税の基準に関する疑義など、税務当局と納税者との間で生じる可能性のある問題を解決するための根拠資料として、帳簿等が参照されます。具体的に、「帳簿及びその他の記録」、すなわち「帳簿等」とは何かというと、損益計算書や資産の状況を示すバランスシート、仕訳帳、日記帳、取引先や顧客との契約書、領収書、請求書など、企業や個人事業主の経営に関連するあらゆる文書や記録が含まれます。

「法人であれば決算日から7年間、個人であれば年末から7年間」というのは、保存期間の起算点を示しています。法人の場合、決算日は事業年度が終了する日を指し、これが保存期間のスタートとなります。一方、個人の場合はカレンダー年に基づくため、年末が基準となります。この保存期間中に税務当局からの調査が入った場合、要求される帳簿等を提供しなければなりません。提供できない、あるいは不適切な保存をしていた場合、罰則の対象となる可能性もあります。したがって、正確な保存が非常に重要であるといえます。

欠損金の繰越控除と最長10年の保存

欠損金とは、特定の事業年度で発生した損失のことを指します。一般的には、収入よりも経費の方が多い場合、その差額が欠損金となります。この欠損金は、直ちに次の事業年度の所得から控除することが可能です。そして、もし次の事業年度の所得が欠損金を上回らない場合、残った欠損金をさらに次の年度に持ち越して控除することができます。

この「持ち越して控除する」という仕組みが「欠損金の繰越控除」と称されます。具体的には、所得税法に基づき、欠損金の繰越控除は最長で10年間行うことができます。これにより、不景気や大きな投資による損失など、一時的に損失が出てしまった事業年度があっても、その影響を長期にわたって緩和することが可能となります。欠損金の繰越控除を行う場合、その欠損金が発生した事業年度の帳簿等の保存期間が10年となるのは、もし税務調査が行われた際に、その欠損金の正確性や繰越控除の適切性を確認するための根拠資料として、帳簿等が必要となるからです。通常の保存期間である7年を超えることで、10年間の繰越控除全体を適切にサポートすることができます。

個人事業主の保存期間の違い

個人事業主には、税務上の申告の方法として「白色申告」と「青色申告」の2つの選択肢が存在します。どちらを選ぶかによって、税務上の取り扱いや必要な手続きが変わるため、その違いを理解することが大切です。まず、一般的な「白色申告」の場合、納税者は簡易な帳簿のみを付ければよく、具体的な計算方法や帳簿の形式に厳格な規定はないという特徴があります。そのため、手間は少ない一方で、税制上の優遇措置は少ないです。これに対して、保存期間は基本的に7年間となります。

一方、より詳細な帳簿を正確に付ける「青色申告」は、税務当局にその帳簿を提出し、認定を受ける必要があります。青色申告の採用には、所得控除の特例や税額の計算方法など、さまざまな税制上のメリットが伴います。これは、正確な帳簿を維持し、税務当局との透明性を保つことによる信頼性の高さを評価した結果のものです。しかし、青色申告を選択することで得られるこれらのメリットには、一定の「代償」が必要となります。それが、帳簿等の保存期間を10年間とするという点です。10年間という長い保存期間は、青色申告の税務上の優遇措置を受けるための条件の一部として設定されています。税務調査が行われた際、10年前の取引の詳細や計算の正確性を確認するための根拠資料として、帳簿等が必要となる可能性があるからです。

電子帳簿保存法の保存期間を気軽に守れるソフト

保存期間の解説をしてきましたが、公益法人は帳簿を扱うことが多く、どの帳簿がどのくらい保存されているのか管理するのが難しい側面があります。そのため、ソフトを使って管理することがおすすめです。しかし、どのソフトを使っていいのか迷う人もいるかと思います。数あるソフトの中でもおすすめなのが公益法人向けの「WEBバランスマン」です。

このソフトは、損益ベースでの予算入力だけでなく、資金ベースの予算書も出力できる点が非常に魅力的です。これにより、公益法人の多岐にわたる財政管理を一元的に行うことができます。また、大きな特徴の一つとして、伺書入力が標準装備されていることが挙げられます。これにより、支出伝票へのデータ引き継ぎがスムーズに行えるため、効率的な帳簿処理を実現できます。さらに、16年会計基準と20年会計基準の両方に対応しており、補助金申請や各種報告書作成時に柔軟に対応することが可能となっています。

安全性に関しても、WEBバランスマンは非常に信頼性が高く、SSL証明書を取得しているため、機密性の高い会計情報を安全に管理することができます。このような高度なセキュリティ対策と併せて、担当者ごとの詳細な権限設定も可能で、データの取り扱いを細かく制御することが可能です。

ソフトを活用することで保存期間の厳守と業務の効率化ができる

ソフトを活用することで保存期間の厳守だけではなく、業務効を効率化して大変な事務作業を簡単にすることができます。データの一元管理や自動的な分類、検索機能の活用が可能となり、これまでの手作業での書類整理や保管の