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電子帳簿保存法の請求書発行側は何をする?対応する方法を紹介


2023.12.01

電子帳簿保存法とは、税務関係の帳簿や書類などを電子的に保存することを可能とする法律です。この法律により、紙の請求書を発行する必要がなくなり、経理の効率化やコスト削減が期待できます。しかし、電子帳簿保存法の請求書発行側は、どのようなことに注意すべきでしょうか。今回は、請求書発行側に必要なことや電子帳簿保存法に対応する方法を紹介します。

電子帳簿保存法の請求書発行側とは

電子帳簿保存法の「請求書発行側」とは、自社で請求書を作成して、取引先に送付した側のことを指します。電子帳簿保存法では、請求書発行側にも送付した請求書の控えを一定の条件で電子データとして保存しておく義務が課せられています。また、2023年10月からはインボイス制度により、適格請求書を発行し保存することが必要になりました。

請求書は、紙で請求書を発行する場合と電子データで発行する場合で、異なる保存方法を採用しています。紙で発行する場合は、請求書は紙のまま保管するか、スキャナを使用して電子データに変換して保存しておくかの選択肢があります。一方、電子データで発行する場合は、電子取引方式でそのまま電子データを保存しておく必要があります。ただし、2024年1月以降は、特別な理由がない限り、電子的に受け渡された取引情報を紙で印刷して保存しておくことは認められません。

電子帳簿保存法の請求書発行側は何をする?

請求書を適切に電子データで発行するには、電子帳簿保存法に従うことが必要です。この法律は、企業や事業主が取引に関する情報を電子データとして保存し、提出するための規定で、法的な遵守が求められます。電子データの請求書は紙の請求書と比べて、コスト削減や業務効率化に貢献するでしょう。電子帳簿保存法の請求書発行側に求められることは、以下のようなものです。

改ざんできない形式で送付すること

PDFなどの改ざんできない形式に変換して送ることは、電子帳簿保存法の要件の一つです。PDFは、文書のレイアウトやフォントなどを保持したまま、どの環境でも同じように表示できるファイル形式です。PDFに変換することで、請求書の内容が第三者によって改ざんされるリスクを低減できるでしょう。

PDFに変換する方法はいくつかありますが、WordやExcelなどの文書作成ソフトで請求書を作成し、「名前を付けて保存」や「印刷」の機能からPDFとして保存する方法が挙げられます。また、オンライン上で提供される無料のPDF変換サービスを利用する方法も一般的です。専用のPDF作成ソフトやアプリをインストールして使用してもPDFファイルを作成できます。例えば、Adobe Acrobatは有料のPDF作成ソフトで、高度な編集やセキュリティ設定などが可能です。

請求書の控えは電子データで保存すること

請求書の控えは、消費税法に基づいて保存しなければならない帳簿書類の一つです。したがって、請求書の控えを電子データで保存する場合は、電子帳簿保存法の要件を満たす必要があります。電子帳簿保存法には、3つの区分がありますが、請求書の控えを電子データで保存する場合は、区分2(スキャナ保存)が適用されます。スキャナ保存とは、紙で受領した請求書の控えをスキャナで読み取り、電子データとして保存することです。スキャナ保存をおこなう場合は、以下の要件を満たす必要があります。

1.スキャナで読み取る際に、原本と同じ画質・色彩・サイズで読み取ること。
2.スキャナで読み取った後に、タイムスタンプ(付与期間は、最長約2か月と概ね7営業日以内)を付与すること。
3.電子データについて訂正や削除をおこなった場合に、これらの事実や内容を確認できる方法で保存すること。
4.電子データを検索(請求書番号や発行日など)できるようにすること。
5.電子データを見読可能な状態で速やかに出力(プリンタやディスプレイなど)できるようにすること。
6.電子データの真実性や可視性を確保するために必要な措置(バックアップやセキュリティ対策など)を講じること。

インボイス制度に対応するため適格請求書を発行・保存する

インボイス制度とは、消費税の軽減税率制度に対応した仕入税額控除の方式です。インボイス制度では、課税事業者の求めに応じて、売手にインボイスの交付義務が課されます。インボイスとは、消費税の計算に必要な情報が記載された請求書であり、適格請求書とも呼ばれます。適格請求書を発行できるのは、税務署長に申請して登録を受けた適格請求書発行事業者だけです。消費税の課される取引をおこなった場合には、その取引の相手方(課税事業者)からの求めに応じて、適格請求書を交付することが必要です。

また、売上に関連する価格調整、商品返品、割戻しのような取引がおこなわれた場合、適格返還請求書(返還インボイス)の提供が必要です。提供した適格請求書に誤りがある場合、訂正された適格請求書を提供しなければなりません。適格請求書を発行する事業者は、提供した適格請求書のコピーや、適格請求書に関連する電子データを保存することが義務付けられています。

電子帳簿保存法に対応した請求書を発行する方法

電子帳簿保存法に対応した請求書の発行方法については、いくつかの選択肢が存在します。ただし、電子帳簿保存法に準拠するためには、発行した請求書を適切に保管しなければなりません。保管されたデータが第三者からの要求や税務調査に対応できるよう、慎重に管理する必要があります。電子帳簿保存法に対応した請求書を発行するには、以下のような方法が一般的です。

電子メールや添付ファイルなどで発行する

請求書を電子メールで送信する際には、まず送付先に確認し、事前に了承を得ることが重要です。送付する請求書のデータは、PDFや画像などの改ざんが難しいフォーマットで作成し、メールに添付して送信します。また、取引相手によって、請求書に押印が必要かどうかは異なります。押印が必要な場合、電子印鑑を用意するか、原本の請求書を郵送するなどの対応が必要です。

電子請求書サービスを利用する

電子請求書サービスは、ウェブ上で請求書の生成、送信、管理ができるサービスです。このサービスには、電子メールで添付されるタイプ、ダウンロード可能なタイプ、電子データ形式のタイプなどがあります。それぞれに独自の利点と制約が存在するため、自社のニーズに応じて選択することが大切です。電子請求書サービスを利用する際には、重要な情報をインターネットを通じて送受信することになります。そのため、サービスのセキュリティと信頼性が高いかどうかを確認することが不可欠です。

電子帳簿保存法の請求書発行に対応したソフト

電子帳簿保存法に対応したソフトウェアを使用することで、法的要件に合致した請求書を作成できるため、コンプライアンスを維持できるでしょう。ソフトには請求書の改ざんを防ぐセキュリティ機能などが備わっており、請求書の信頼性が向上し、誤りや不正行為を防ぐのに役立ちます。また、請求書や取引履歴をデジタルで管理しやすくなるのも特徴です。情報の検索、バックアップ、アクセスが簡素化され、業務プロセスが効率化されます。

公益法人向けの「WEBバランスマン」

「WEBバランスマン」とは、公益情報システム株式会社が開発したクラウド会計システムのことです。公益法人の経理業務を合理化・効率化するために幅広い機能を提供しています。例えば、伺書からの入力機能が標準装備されており、業務の簡素化が容易になります。また、変換マスタを活用することで、公益法人会計基準の変更に伴う「平成20年基準/平成16年基準」の両方に対応した決算書を作成可能です。

会計や事業で必要な按分が必要な伝票も一度の入力で処理でき、按分マスタを利用すると按分処理を自動化することもできます。さらに、請求書を電子データとして作成し、メール添付やクラウド上で送付することもできます。また、タイムスタンプを付与したり、検索機能を利用したりすることも可能です。

電子帳簿保存法の請求書発行側についてまとめ

電子帳簿保存法の請求書発行側は、一定のルールに従わなければなりません。違反した場合は、税務上の不利益や法的な責任を負う可能性があります。電子帳簿保存法の請求書発行側は、これらのリスクを回避するためにも、電子取引データ保存のルールをしっかりと守ることが重要です。財務データの透明性と法的安全性を確保できることから、電子帳簿保存法を遵守することは、ビジネスにとって不可欠だと言えるでしょう。