電子帳簿保存法に対応して書類を保存する際に、「どれが対象書類かよくわからない」という方もいるでしょう。そこで、本記事では電子帳簿保存法の対象書類をすべて取り上げ、一覧にしています。保存方法についても説明しているので、要件と合わせてチェックしましょう。
電子帳簿保存法の対象書類一覧!

以下が、電子帳簿保存法となる対象書類一覧です。
1.「国税関係帳簿」
仕訳帳
総勘定元帳
現金出納帳
売上帳
売掛帳
仕入帳
買掛帳
給与台帳
棚卸帳簿
領収書控え
減価償却資産台帳
支払調書(法定調書)
貸借対照表
損益計算書
事業資金の出納帳簿
預金出納帳
税務申告書関連資料
固定資産台帳
2.「国税関係書類」
国税関係の書類はこちらになります。
2-1.決済関係書類
棚卸表
減価償却計算書
貸借対照表(財務諸表)
損益計算書(財務諸表)
税務申告書とその添付書類
記帳の基礎資料(メモ書き、計算書類)
株主総会議事録
2-2.取引関係書類
2-2-1.【自社発行(写し)】
領収書控え
請求書控え
納品書控え
預金通帳控え
預り証控え
小切手控え
約束手形控え
社債申込書控え
有価証券(商品以外)控え、有価証券受渡計算書控え
輸出証明書控え
契約の申込書(定型的約款無し)控え
契約書控え
見積書控え
検収書控え
入庫報告書控え
貨物受領証控え
注文書控え
株式申込書控え
仕入明細書控え
売上明細書控え
給与明細書控え
源泉徴収票控え
支払調書控え
交通費精算書控え
2-2-2.【取引先発行】
領収書
請求書
納品書
預金通帳
預り証
小切手
約束手形
社債申込書
有価証券(商品以外)、有価証券受渡計算書
輸出証明書
契約の申込書(定型的約款無し)
契約書
見積書
検収書
入庫報告書
貨物受領証
注文書
株式申込書
仕入明細書
売上明細書
給与明細書
源泉徴収票
支払調書
交通費精算書
3.「電子取引」
電子メール、クラウドサービス、電子決済システム、ショッピングモール、EDI(電子データ交換)取引、インターネットバンキング、電子契約サービス、サブスクリプションサービス、Webアプリケーションやシステム、FAX、カードの履歴・明細、記録媒体
領収書
請求書
納品書
預金通帳
預り証
小切手
約束手形
社債申込書
有価証券(商品以外)、有価証券受渡計算書
輸出証明書
契約の申込書(定型的約款無し)
契約書
見積書
検収書
入庫報告書
貨物受領証
注文書
株式申込書
仕入明細書
売上明細書
給与明細書
源泉徴収票
支払調書
交通費精算書
参考:JIIMA「電子取引 取引情報保存ガイドライン」
参考:国税庁「電子帳簿保存法一問一答」
電子帳簿保存法では電子取引のみ必須!
電子帳簿保存法で対象となる書類は、上記に挙げた「国税関係帳簿書類」や「国税関係書類」の各種書類です。しかし、これらの書類がすべて初めから対象書類となるわけではありません。
電子帳簿保存法では、電子取引のみ保存が必須で、それ以外の書類は任意となります。したがって、紙の書類はそのまま保存できます。
ちなみに、電子取引以外では、電磁的記録やスキャナ保存といった電子保存が認められる「国税関係帳簿」「国税関係書類」の書類も対象となります。
一貫して自分のパソコンで作成した帳簿は対象書類になる
「電子保存が認められる」という場合に、一貫して自分のパソコンで作成した帳簿が挙げられます。最近では帳簿作成を専用のソフトで行うことが増えています。
最初からパソコン内でデータを作成して、それを保存・送付することも珍しくありません。この場合、要件にそって条文に定める「電磁的記録」で保存します。この要件については、後ほど保存方法のところで説明します。
対象書類が「控え」となる場合
取引先発行と自社発行の違いは、発行主の違いです。自社発行では相手に書類を渡すため、自社に残すのは「控え」となります。逆に、取引先発行は書類原本を受け取るので「控え」ではありません。
電子帳簿保存法に対応した対応書類の保存方法
電子帳簿保存法を守って書類を保存するには、保存方法によって異なる要件を知り、保存作業を実行することです。
保存方法は「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3つがあります。
保存方法1.電子帳簿等保存
1つ目の「電子帳簿等保存」では、一貫して自分のパソコンで作成した帳簿の対象書類を保存する場合に最低限守る要件が決まっています。
電子帳簿等保存の要件:
要件1.システム関係書類等(システムの概要書や仕様書、操作の説明書、事務処理のマニュアル)を備え付ける
要件2.保存場所に電子計算機やプログラムと操作の説明書を備え付け、「整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力」できる
要件3.税務職員からの質問検査の際、電子データのダウンロード要求に対応できる
以上の3つの要件をすべて満たすようにします。簡単な方法は、電子帳簿保存法対応済みの会計ソフトを導入することです。
まずは会計ソフトを決めてインストールし、そのソフト上で帳簿を作成、データ保存、出力するだけです。
ソフトによっては「優良」認定を受けられる他の要件(検索機能要件など)を満たせる場合もあります。
電子データの原本が保存され、上の3つの要件さえ守っていれば、紙の書類を残さなくてもデータで電子保存ができます。
保存方法2.スキャナ保存
スキャナ保存では、契約書、納品書、請求書などの「重要書類」と見積書、注文書などの「一般書類」で保存の要件が違うことです。そのため、書類の種類と要件を確認しながらデータを取り込んでスキャナ保存します。
スキャナ保存の要件:
要件1.入力期間の制限(書類を受け取っておおむね7営業日以内、最長2ヶ月以内の業務処理サイクルの期間の7営業日以内)
要件2.一定の解像度による読み取り(解像度200dpi以上)
要件3.カラー画像による読み取り(赤色、緑色、青色の階調で256階調以上・24ビットカラー)
要件4.タイムスタンプの付与(条件を満たせば省略可)
要件5.バージョン管理(改ざん防止のシステムの使用)
要件6.帳簿との相互関連性の確保(帳簿の記録とその関連性を確認できる)
要件7.見読可能装置等の備付け(14インチ以上のカラーディスプレイ、カラープリンタ、操作説明書を備え付ける)
要件8.速やかに出力すること(整理された形式で出力、元の書類と同じ程度に鮮明な表示、拡大や縮小での出力が可能、文字サイズが4ポイントでも読める)
要件9.システム概要書等の備付け(スキャナ保存のシステムや手順を明確にするための概要書や操作マニュアルを整備する)
要件10.検索機能の確保(データのダウンロード要求に対応できる場合で、取引の日付、金額、取引先名を基準に検索できる)
スキャナ保存の流れは、要件1.のとおりに受け取った請求書(重要書類)を「7営業日以内、最長2ヶ月以内」のルールで読み取り保存します。
その際、要件2.~要件4.をすべて満たすようにし、改ざんできない会計ソフトなどを導入して使用することです。後は、保存するパソコンや機器のシステムが要件6.~要件10.を満たすようにします。
後は、読み取った書類をソフトの機能で保存するだけです。
以上の要件が満たせない重要書類は、電子保存が認められません。ただし、一般書類の場合は、一部要件が不要です。
例えば、入力期間は無期限となり、解像度にグレースケールの使用が可能です。また、帳簿との関連付けも不要となります。
保存方法3.電子取引
電子取引は、一覧にした書類のすべてが電子帳簿保存法の対象となります。そのため、電子取引の書類を送受信後に、以下の要件を踏まえて保存を実施することが大事です。
電子取引の保存要件は下記になります。
- 改ざん防止の措置(orタイムスタンプの付与)
- 検索機能(日付・金額・取引先で保存・検索できる)
- 保存場所に電子計算機やプログラムと操作の説明書を備え付け、「整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力」できること
電子取引の要件はシンプルで、書類を発行・受け取ったときに、保存するデータを削除・修正できないシステムを使っていれば要件をクリアできます。
改ざん防止のシステムがない場合は、決められた事業者を利用して、タイムスタンプの付与をします。多くの場合は、帳簿・会計システムと連携してデータをアップすることで可能です。これを国が認めた「時刻認証局(TSA)」という認定事業者が行います。
そのため、改ざん防止システム利用の場合とタイムスタンプの付与の場合では、保存作業の手順が少し異なります。改ざん防止システムのある会計ソフトはそのまま保存して終わりです。
しかし、タイムスタンプを押してもらうためには、会計ソフト内で書類のアップロードから指定の手順が必要です。その方法はソフトやバージョンによって異なります。
電子帳簿保存法で対応書類を扱うときの注意点

電子帳簿保存法に対応する書類は、保存時に注意が必要です。
まず、スキャナ保存は読み取り保存の期限が決まっているため、遅れないように保存することが必須です。期限を過ぎると要件を満たせなくなります。
海外出張などの例もあるため、最長2ヶ月以内の業務処理サイクルの期間を設けており、その基準日から7営業日以内は保存が可能です。
また、手書きの「国税関係帳簿」は、電子保存のみができません。万が一、原本の紙書類を捨ててしまうと法令違反となります。
パソコンで数字のデータを入力だけしてそれを保存しても、電子帳簿保存法では認められません。ただし、電子取引の場合は、紙書類の原本を保存する必要がありません。
電子帳簿保存法の対応書類の扱いにおすすめなソフト
以下に、公益法人向けと一般法人向けのおすすめソフトを2つ紹介します。
WEBバランスマン
WEBバランスマンは、公益法人向けに提供されている会計ソフトです。
JIIMA認証を受けた「ClimberCloud」でクラウド機能が使えて便利です。伝票を作成する際に、請求書を一緒にアップするだけで電子帳簿保存法の要件を満たせます。
電子帳簿保存法への対応をしたい公益法人におすすめです。
弥生会計 オンライン
弥生会計 オンラインは一般法人向けのクラウド会計ソフトです。
電子帳簿保存法に対応しており、タイムスタンプなしで電子取引の書類を保存できます。改ざん防止の要件「訂正・削除の履歴確認」をシステムとして備えています。
そのため、わかりにくい電子帳簿保存法への対応も容易となるため、一般法人におすすめです。
電子帳簿保存法の対象書類一覧についてまとめ
電子帳簿保存法の対象書類は多く、中でも電子取引の書類は法対応が必須です。
また、それぞれの保存方法にあわせて要件が決まっています。そのため、要件を確認しながら、書類をしっかり保存しましょう。