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電子帳簿保存法の保管期間は?例外や注意点


2025.03.13

電子帳簿保存法では、ルール通りに帳簿や書類の電子データを保管することが義務付けられています。保存時に、その方法だけでなく、年数も決められています。

これから保存の運用を開始する個人や法人の担当者・経営者にとって保管期間のルールを詳しく知りたい方もいるでしょう。

この記事では、電子帳簿保存法の保管期間について具体的な年数や開始時期(起算日)、期間の例外について解説します。

電子帳簿保存法の保管期間は?

電子帳簿保存法の保管期間は?

電子帳簿保存法には、帳簿や書類の保管期間が決められています。そのため、企業や個人は、一定の期間、紙書類の破棄やデータ削除をせずに、厳重に保管する必要があるのです。

保管期間の長さは、全員が一律ではなく、個人と法人の場合で異なります。まず個人の場合は、原則5年間の保存です。法人の場合は原則7年間の保存となります。

「原則」と付けるのは、その年度ごとに、個々の事情で保管する年数が変わるためです。具体的には、最長で個人が7年、法人が10年まで保管期間が延長します。

保管期間の開始時期(起算日)

電子帳簿保存法の保管期間を守る際に、その期間がいつ始まるのか、保存義務者は時期を正確に知っておく必要があります。

まず、電子帳簿保存法では、保存義務のある帳簿や書類データの原本を削除・破棄することはできません。そのため、保管年数の開始時期(起算日)にかかわらず、受け取った日や作成した日からすぐに保管が必要です。

しかし、保管年数のカウントは、細かい日数で決まるのではなく、決められた時点から年数をカウントすることになります。それが「事業年度の確定申告書を提出する期限の次の日」です。法人ならその日から7年間の保存が必要となります。

例えば、年度の途中「7月8日」に受け取った請求書の場合、その年の確定申告の提出期限が「3月15日」なら、開始時期(起算日)は、その翌日「3月16日」です。

ただし、開始時期(起算日)が変わる「適格請求書(インボイス)」のような例外もあるため、すべての書類ではありません。

参考:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」

電子帳簿保存法で最長の保管期間になる例外

以下に、電子帳簿保存法で保管期間が最長となる例外について、それぞれ法人と個人の場合で解説します。

法人の保管期間が長くなる場合

法人の保管期限は7年間が原則ですが、例外的に10年間となる場合があります。10年間になる条件の1つは、青色申告で欠損金が発生することです。これを「青色繰越欠損金」と呼びます。

この欠損金の制度について簡単に説明すると、青色申告をした保存義務者が、その事業年度に発生した赤字(欠損金)を翌年度以降に繰り越して、所得金額から控除できる仕組みです。つまり、その欠損金の発生が期間延長の条件となるのです。

もう1つは、青色申告の提出ができず、その上で災害損失が出ることです。この場合でも保管期間が10年間となります。例えば、倉庫に保管していた商品が地震などの災害で下敷きになって、在庫不良となり損失が出るなどです。

ただし、保管期間を10年間ではなく、9年間とする例外があります。それは「平成30年4月1日以前」に開始した事業年度です。この場合は、9年間の保存が求められます。

個人で期間が長くなる「適格請求書(インボイス)」の場合

適格請求書(インボイス)は、電子帳簿保存法で原則となっている個人の「原則5年間」の保存期間が適用されない書類の1つです。

個人が保存する一般的な請求書は基本的に電子帳簿保存法で5年間です。しかし、適格請求書(インボイス)は消費税法に定める規則に従う必要があります。

そのため、法人は7年で同じですが、個人事業主や副業の個人は5年ではなく7年となり、52年間も長くなるのです。ルールを間違えないようにする必要があります。そして、個人には最長7年が例外としてあるのは、上で説明したとおりこの適格請求書(インボイス)の場合となります。

また、保存期間の開始時期(起算日)についても適格請求書(インボイス)は少し異なります。消費税法では、交付日または課税期間末日の次の日から2ヶ月が過ぎた日」から7年間となります。開始時期(起算日)のルールが違うことがわかります。そのため、保管年数の開始時期(起算日)にも注意が必要です。

参考:国税庁「5 適格請求書等の写しの保存」

電子帳簿保存法の保管期間後に対応するときの注意点

電子帳簿保存法の保管期間後に対応するときの注意点

保管期間後は、電子帳簿保存法に反しない破棄や削除といった処理をするのが一般的です。そこで、以下の2つのポイントに気をつける必要があります。

1つ目は、紙の書類はシュレッダーや焼却で原本を復元できないようにすることです。電子データの場合は復元できない方法を使って徹底的に削除するなどです。情報が外に漏れないように、保管時だけでなく、捨てるときも対策を施します。

2つ目は、終了時期を間違えないことです。事業年度によって保管年数が7年間から例外の10年間、もしくは特例の9年間に変わることがためです。

特に事業継承や社内の経理体制の変更などが起きた場合は、書類の保管年数を正しく判断できるように引き継ぐ必要があります。

電子帳簿保存法で紙保管せずに電子データ化できる期間

電子データ化する原本の保管期間は、長くても「2か月と7営業日」以内と決まっています。

電子データ化とは、請求書を紙で受け取った際に、それをスキャンしてソフトで読み取り、データを保存することです。紙で保存するのではなく、電子データを保存したい場合に、それを電子データ化してもよい期間が決まっています。

ただし、期限を過ぎた書類は電子データ化できません。万が一、電子データ化して帳簿書類に使用すると、処罰による重加算税などの罰則が課されることもあります。

参考:国税庁「電子帳簿保存法一問一答」

電子取引データの場合はプリントアウト保存がNG

電子帳簿保存法では、2024年に猶予期間が終了し、電子取引データ保存の完全移行が行われています。メールで受け取った請求書などの電子取引データをプリントアウトして保存することができなくなったのです。

保管期間が適用されるのは電子保存した原本データだけです。プリントアウトした紙の書類は保管せず破棄しても問題ありません。

電子帳簿保存法におすすめのソフト

ここでは、電子帳簿保存法におすすめしたいソフトを個人・法人用と公益法人用で2つ紹介します。

クラウド会計ソフトfreee会計

1つ目は、フリー株式会社が提供する個人・法人におすすめのソフト「クラウド会計ソフトfreee会計」です。

freee会計は個人のフリーランスから法人まで幅広く利用されている会計ソフトです。その機能は電子帳簿保存法にも準拠しています。特に、2024年1月からの完全移行にも対応しており、安心して使うことができます。

そして、義務となる保存期間に対応するため、保存した電子データの自動削除がなく、期間中はデータを残すことができます。期間後も希望すればデータは削除できますが、勝手にデータを消されることはありません。

WEBバランスマン

2つ目は、公益法人向けのソフト「WEBバランスマン」です。

WEBバランスマンは、公益法人が守る会計基準に対し、それぞれ平成16年と平成20年に対応しています。

また、JIIMA認証を得たClimberCloudをクラウド経由のオプション連携で利用できます。そのため、電子帳簿保存法に対応したデータの保存が容易です。

電子帳簿保存法の保管期間まとめ

電子帳簿保存法では、帳簿や書類の電子データを保管する期間が決まっており、個人で5年間(最長7年間)、法人で7年間(最長10年間)です。

例外は、個人の場合が「適格請求書(インボイス)」、法人の場合が「青色繰越欠損金」か「災害による損失」で期間が最長となります。

この記事を参考に、保存期間やその開始時期(起算日)を正しく理解して、保存を始めましょう。