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電子帳簿保存法の罰則はいつから?罰則を回避する方法


2025.03.13

電子帳簿保存法は、2022年と2024年に2度の改正が起こり、保存の要件変更や罰則強化が行われています。

そこで、新しい罰則がいつから加わったのか、保存要件の変化も踏まえてその経緯を解説します。その上で、罰則を避けるために利用したい会計ソフトを紹介します。

電子帳簿保存法の新たな罰則はいつから?

電子帳簿保存法の新たな罰則はいつから?

電子帳簿保存法は、2022年の改正で新たな罰則が加わっています。それが「重加算税」の追加です。

ここからは、罰則強化の経緯を解説します。電子帳簿保存法がいまのような制度になった経緯は、1998年に新しく法律として制定され、改正と規制緩和を繰り返したことにあります。その後、2005年にはスキャナ読み込みに対応すため法改正されたのです。

そして、電子帳簿保存法は誕生したその年からすでに罰則適用が開始されます。しかし、いまほど厳しい罰則ではなく、税務調査の強化や5%からの過少申告加算税が主な罰則です。

しかし、2022年の改正で「重加算税」による罰則強化が行われています。重加算税とは、保存義務者が納税書類提出の際に、意図的な改ざんや申告漏れ(隠蔽・仮装)があると課される罰則用の税金のことです。

税金は本来決められた割合の金額を支払うもので、過少申告加算税なら5%~15%の追加となります。ところが、重加算税が適用された場合、基本の加算割合35%に加えて電子帳簿保存法違反の10%が加算されるため、合計で45%の加算税を納付する義務が生じるのです。加算税の割合やルールの細部は国税通則法で決められています。

電子帳簿保存法の罰則が強化された理由

電子帳簿保存法は要件の緩和が進んでいる一方で、重加算税の追加により罰則は強化されています。

保存義務者の意識改革

罰則が重くなった理由は、保存義務者の意識を高めることにあります。実際に、電子取引データの電子データ保存が本格化したことで、気軽に納税書類提出にソフト保存したデータが使えます。

しかも、要件緩和でルールも最低限のものとなっているため、以前と比べると電子保存しやすいのは明らかです。この事実は、企業に電子データでの保存を促す一方で、改ざんや保存のルールを守らない運用が行われやすくなったことを意味します。

そこで意図的な不正や無意識の違反を今後も防ぐため、罰則強化されたのです。罰則の強化には、保存義務者が「ルールをよく確認せずに違反をすることを減らす」「意図的なルール違反を起こさせない」などの狙いがあります。

ルール変更への対応で罰則も意識させられるため、会社や個人が電子帳簿保存法を守るように意識を高めることができるのです。

優良帳簿の差別化

優良帳簿を作成する保存義務者との差別化を図ることがもう1つの理由です。電子帳簿保存法には、正しく要件を守って帳簿を作成した際に、優良な帳簿として認められます。

優良帳簿には「真実性の確保」と「可視性の確保」、それから「検索性の確保」の要件を満たすことが不可欠です。

例えば、改ざん防止措置のシステムを使用していることです。この要件なら、タイムスタンプを付与しなくても保存ができます。

また、他の必須ではない保存要件も、優良帳簿は同時に満たす必要があります。具体的には、「書類と帳簿の相互関連性」や「税務職員のダウンロードの求めへの対応」、「日付、金額、取引先名で検索を可能にする」など、優良帳簿になる要件をすべて満たすことです。

その結果、優良帳簿が認められた保存義務者は、加算税の罰則を受けたい際に、5%の軽減措置が受けられます。したがって、重加算税の罰則が強化される中、優良帳簿の罰則軽減のメリットが強まるのです。

電子帳簿保存法の罰則を回避する方法

電子帳簿保存法の罰則を回避する方法

電子帳簿保存法に違反して罰則を受けないようにするためには、保存のルールを守るためのポイントを知ることが大事です。それには違反となる電子保存の方法や保管期間を守ることが求められます。

しかし、チェックを増やしたり、ルールの社内共有など努力しても、それらのミスをなくすことはできません。そこで、違反を回避するには、電子帳簿保存法のルール漏れを起こしにくい環境を作ることが必要です。

具体的には、 電子帳簿保存法に対応している会計ソフトを導入して、自然にルールが守れる状況を社内に作り出すことです。

特に改ざん防止や履歴が自動で残る会計ソフトや連携するクラウドシステムは、便利なだけでなく、人為的なミスを減らすのに向いています。電子帳簿保存法の場合、書類の保存ルールが複雑で多くの要件があり、社員や担当者が1つもミスをせずに実行し続けることは困難です。

個人でどれだけ努力して守ろうとしても、ミス1つで罰則を受けてしまっては意味がありません。保存手順の中でルールが守られる環境は、それだけ個々の負担を減らし、罰則を回避しやすくなります。

電子帳簿保存法を守るのに利用したい会計ソフト

電子帳簿保存法のルールを守って、罰則を受けにくくするには、会計ソフトを利用することです。そこで、個人・法人・公益法人向けに会計ソフトを3つ紹介します。

個人向けの「やよいの白色申告 オンライン」

弥生株式会社が個人向けに提供する会計ソフトが「やよいの白色申告 オンライン」です。

電子帳簿保存法に対応した機能が充実しています。例えば、会計帳簿の作成や請求書を作成できる請求書作成ソフト「Misoca」を1年間無料で利用することができます。

また、2024年1月から必須となった電子取引データ保存にも対応の「スマート証憑管理」のサービスを使うことができます。これは、領収書や請求書の電子取引データをクラウド保存して管理する機能です。

JIIMA認証を受けており、改ざんができない保存を可能とする「真実性の確保」を備えたシステムです。

それから、弥生株式会社は別ソフトに「やよいの青色申告 オンライン」も用意があるため、青色申告で提出する方にあわせたクラウドソフトを使えます。

法人向けの「マネーフォワード クラウド会計」

「マネーフォワード クラウド会計」は、株式会社マネーフォワードが提供し、中小企業から大企業まで使えるクラウド型の法人向け会計ソフトです。企業の満足度1位で業界トップの実績と、サービス継続率99%という高い割合で人気があります。

紙書類を電子化する機能の充実が特徴です。特に連携クラウドの「クラウドBox」を一緒に使うことで、さまざまな保存要件を満たすことができます。

例えば、クラウド経由で仕分けや請求書の発行、データの自動保存など、連携を強めて効率的な帳簿書類の作成と管理の機能を活用できます。

また、検索要件を満たす、「取引日・取引先・金額」でファイル名の保存と検索も可能です。

そして、規模の大きな上場企業向けには、監査やグループ経営など内部統制の機能が充実した「マネーフォワード クラウド会計Plus」という用途に合わせた別ソフトも提供しています。

公益法人向けの「WEBバランスマン」

「WEBバランスマン」は、公益情報システム株式会社が提供する公益法人向けの会計ソフトです。

特徴として、公益法人が利用しやすい帳簿の入力機能が備わっています。特に伺書入力の機能では、伝票データを引き継いで、繰り返し簡単に作成ができます。

また、16/20年会計基準を採用し、電子帳簿保存法の保存要件を満たすJIIMA認証の「ClimberCloud」を使えて、クラウド連携による保存もできます。

電子帳簿保存法に対応する目的で自治体や公益団体が導入したいソフトです。

参考:公益情報システム株式会社「会計システム」

電子帳簿保存法の罰則がいつからのまとめ

電子帳簿保存法の罰則は、2022年から新たな罰則強化が加わって、保存義務者が法令を遵守するための意識を促しています。

特に重加算税は、10%の加算が加わることで罰則としては厳しいものとなるため、適用がほとんどされない過料と比べても、保存義務者にとっては避けたい罰則です。

そこで、罰則を避けるには、社内で保存方法の共有と人的ミスを減らせる会計ソフトがおすすめです。今回紹介した3つの会計ソフトを参考に、これからの導入を検討しましょう。