「警察から謝礼金をもらえるかもしれない」
そのような状況では、どう対応すべきか悩むこともあるでしょう。謝礼金の種類や金額、税金の扱いについて知らないことが多く、不安になる場合もあるかもしれません。本記事では、警察からの謝礼金に関する疑問を解説します。情報提供や捜査協力で受け取れる謝礼金の種類や相場、税務上の扱いなど、知っておくべきポイントを網羅しています。ぜひ参考にしてください。
警察に関連する謝礼金の種類とは?
警察に関する謝礼金には、情報提供に対する場合と調査協力や証拠提供に対する場合が挙げられます。
情報提供に対する謝礼金
犯罪に関する重要な情報を警察に提供すると、謝礼金を受け取れる場合があります。これは「捜査特別報奨金」と呼ばれ、重大事件の解決につながる情報を提供した人に支払われます。
金額は事件の重要度によって異なりますが、上限は300万円で、場合によっては最大1,000万円に達することもあります。ただし、情報提供者であれば誰でも受け取れるわけではありません。匿名の情報提供者や警察職員、被疑者本人、共犯者などは対象外です。
調査協力や証拠提供に対する謝礼金
警察の要請に応じて調査に協力したり、証拠を提供したりした場合にも、謝礼金が支払われることがあります。これは「参考人協力謝金」と呼ばれ、参考人として警察署に出頭し、取り調べに応じた場合が対象です。
謝金の金額は協力時間に応じて異なります。たとえば、深夜以外の時間帯で2時間以上4時間未満の協力なら1,000円、8時間以上なら5,000円が支払われます。ただし、犯罪の嫌疑がある人や事件の原因となった人など、道義的に出頭が求められる人は対象外です。また、謝金を辞退した場合も支払われません。
警察が払う謝礼金の金額相場
警察が支払う謝礼金の金額は、事件の規模や提供された情報の価値によって大きく異なります。小さな事件から社会を揺るがす重大事件まで、その金額は幅広く設定されています。それでは、具体的にどの程度の金額が支払われるのか、事例を交えながら謝礼金の相場を見ていきましょう。
①情報提供や小さな事件の場合
日常的な犯罪や軽微な事件の情報提供に対する謝礼金は、比較的少額です。たとえば、交通事故の目撃情報や軽犯罪の通報などが該当します。具体的な金額としては、1,000円から5,000円程度が一般的です。これは、警察署に出頭して取り調べに応じた際に支払われる「参考人協力謝金」の基準に基づいています。
先述のとおり、2時間以上4時間未満の協力で1,000円、8時間以上の協力で5,000円といった支給基準が設けられています。ただし、この金額は固定ではありません。提供された情報の重要度や、協力の度合いに応じて変動することがあります。たとえば、軽微な窃盗事件の解決につながる情報を提供した場合、1万円程度の謝礼金が支払われることもあります。
②社会的に注目度が高い事件の場合
社会的影響の大きい重大事件では、謝礼金の金額が格段に跳ね上がります。殺人事件、大規模な詐欺事件、テロ事件などがこれに該当します。こうした事件では、「捜査特別報奨金制度」が適用されることがあり、原則として300万円を上限とする報奨金が設定されています。特に重要な事件では、1,000万円近くまで増額される可能性もあります。
たとえば、2022年に大分県で発生した大学生2人が死傷したひき逃げ事件では、最大300万円の捜査特別報奨金が設定されました。さらに、遺族らが私的懸賞金として最大500万円を上乗せし、合計で最大800万円の懸賞金となりました。なお、謝礼金の金額は、事件の重大性だけでなく、捜査の進展状況や社会的な影響力も考慮されます。具体的には、長期未解決事件や連続犯罪の場合、より高額な謝礼金が設定されることがあります。
警察から渡された謝礼金は税務上では一時所得
警察から謝礼金を受け取った場合、税務上は「一時所得」として扱われます。これは臨時的・偶発的な所得として分類されるためです。ここからは、一時所得の計算方法や確定申告の必要性について、解説していきます。
一時所得の計算方法
一時所得の金額は、以下の計算式で求めます。
一時所得額 = (報奨金 – 必要経費 – 特別控除額) × 1/2
※特別控除額は最高50万円
たとえば、300万円の謝礼金を受け取った場合に必要経費がゼロ、特別控除額が50万円だとすると、計算は次のようになります。
(300万円 – 0円 – 50万円) × 1/2 = 125万円
つまり、300万円受け取っても、課税対象となる一時所得は125万円になるのです。
確定申告の必要性
警察からの謝礼金を受け取った場合、確定申告が必要になることがあります。具体的には、以下の条件に当てはまる人は確定申告をしなければなりません。
- 一時所得の金額が50万円を超える場合
- 給与所得がある人で給与所得と一時所得の合計額が一定以上になる場合
たとえば、先ほどの300万円の謝礼金の例では、一時所得の金額が125万円となり、50万円を超えるため確定申告が必要になります。給与所得のある人の場合、年末調整だけでは不十分となることがあり、給与所得と一時所得を合算して確定申告を行う必要があります。確定申告の手続きが複雑だと感じた場合は、会計ソフトなどの活用をお勧めします。
また、公益情報システムの「謝金システム」を活用することで、謝礼金や報奨金の処理を効率化でき、確定申告に必要な書類の作成もスムーズに行えます。先述の一時所得の計算も自動化されるため、迅速かつ正確な処理が可能です。計算が難しいと感じたり、速やかに正確な申告を行ったりしたい場合は、「謝金システム」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
警察の謝礼金に関するよくある質問
警察の謝礼金について、よくある質問を3つご紹介し、回答していきます。
警察の懸賞金は非課税ですか?
結論から言うと、警察の懸賞金は非課税ではなく、一時所得として課税対象となります。これは、宝くじやサッカーくじとは異なる扱いです。警察庁は、平成23年の税制改正に向けて、この謝礼金を非課税にするよう要望を出しましたが、残念ながら認められませんでした。そのため、現在も課税対象のままとなっています。
捜査協力の謝礼に税金はかかりますか?
捜査協力に対する謝礼金にも税金がかかります。先述の懸賞金と同様に、一時所得として扱われます。ただし、金額が少額であれば、実質的に課税対象とならない場合もあります。たとえば、年間の謝礼金総額が50万円以下の場合、特別控除額の50万円に吸収されるため、課税対象額はゼロになります。
一方、高額の謝礼金を受け取った場合は注意が必要です。一時所得は他の所得と合算して総所得金額を求めるため、給与所得などと合わせて確定申告が必要になる可能性があります。また、謝礼金の受け取りが予想外の影響を及ぼすこともあります。たとえば、専業主婦が高額の謝礼金を受け取った場合、夫の税金計算において配偶者控除が適用されなくなる可能性があります。
警察の謝礼金に関するまとめ
本記事では、警察の謝礼金について、種類や金額、税金の扱いなど、重要なポイントを解説しました。謝礼金は、情報提供や捜査協力に対する感謝の証(しるし)ですが、税務上の扱いには十分な注意が必要です。一時所得として課税対象となり、高額の場合は確定申告が必要になることもあります。
しかし、これらの知識を持っていれば、適切に対応することが可能です。謝礼金の税務処理を心配するあまり、重要な情報提供をためらう必要はありません。捜査に協力し、受け取った報奨金や謝礼金について適切に対応することで、問題を回避できます。正しい知識をもって行動し、社会に貢献していきましょう。また、税金関連の処理で悩む場合は、公益情報システムの「謝金システム」のご利用も検討してみてください。