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公益法人の財務三基準をわかりやすく解説!2025年の制度改革情報も紹介


2024.10.01

公益法人の認定基準には事業の内容だけではなく、財務に関する項目があります。それは財務三基準と呼ばれ「収支相償」「収支相償の判定方法」「公益目的事業比率」の3点です。本記事では、公益法人の財務三基準について、今後の変更点も含めて解説します。

公益法人における財務三基準の概要

公益法人における財務三基準は、公益法人がその目的を達成するために重要な役割を果たす基準です。これらの基準は、公益法人が適切に財務を管理し、公益目的を果たすための指針となります。まずは財務三基準の概要を解説します。

収支相償

収支相償とは、公益法人が行う公益目的事業において、収入が適正な費用を超えないことを求める基準です。具体的には、公益目的事業から得られる収入が、その事業を運営するために必要な費用を上回らないように管理することが求められます。収支相償によって公益法人が利益を追求するのではなく、公益のために資金を適切に使用することが保証されるわけです。

収支相償の判定方法

収支相償の判定は二段階で行われます。まずは各公益目的事業ごとに収入と費用を比較し、次に全体としての収支を確認する流れです。もし収入が費用を上回る場合は、剰余金を公益目的のために使用する計画を立てることが求められます。

公益目的事業比率

公益目的事業比率は、公益法人が行う事業のうち、公益目的事業が占める割合を示す基準です。この比率は50%以上であることが求められます。つまり、公益法人はその活動の半分以上を公益目的事業に充てる必要があるわけです。公益目的事業費率によって、公益法人が本来の目的である公益のために活動していることが確認できます。

公益目的事業比率の計算方法

公益目的事業比率は、公益目的事業に関連する費用を全体の費用で割ることで計算されます。費用には、事業費と管理費が含まれますが、特定の条件下では「みなし費用」も考慮される場合もあります。みなし費用とは、通常は費用として計上されないが、公益活動に貢献しているとみなされる費用のことです。事業費や管理費、みなし費用から公益目的事業費率を計算すると、実際の活動がどれだけ公益に寄与しているかをより正確に把握できます。

3. 遊休財産額保有制度

遊休財産額保有制度は、公益法人が保有する遊休財産の額が1年間の公益目的事業費を超えないようにする基準です。遊休財産とは、現在使用されていない、または具体的な用途が定まっていない財産です。この制度により、公益法人は不要な資産を抱え込むことなく、公益目的のために資産を有効に活用することが求められています。

遊休財産額の判定方法

遊休財産額は、資産から負債と控除対象財産を引くことで計算されます。控除対象財産とは、現在使用されているか、具体的な用途が定まっている財産です。

2025年に財務三基準が大きく変わる

2025年に公益法人の財務三基準が大きく変わります。この改革は、公益法人が抱える財務問題を解決し、より効果的に公益活動を行えるようにするためのものです。特に「赤字」の問題が懸念されており、これが公益法人の活動を制約している現状があります。この問題を解決し認識を変えるための主な変更点を解説します。

変更点1:収支相償から中期的収支均衡へ

これまでの「収支相償」は、短期的な収支のバランスを求めるものでした。しかし、2025年からは「中期的収支均衡」へと変わります。中期的収支均衡は、5年間の中期的な視点で収支のバランスを考えるというものです。短期的な赤字があっても、中期的に見れば収支が均衡することが求められます。

これにより、公益法人は長期的な視野で計画を立てやすくなり、柔軟な財務運営が可能になるわけです。短期的な赤字に対する過度な不安を軽減し、持続可能な運営を支えるでしょう。さらに、この中期的収支均衡の導入により、公益法人は事業の計画や予算編成をより戦略的に行うことも可能です。長期的なプロジェクトに対しても、安心して資金を投入できる環境が整います。

変更点2:公益充実資金を新設

新たに「公益充実資金」が設けられます。これは公益目的事業をさらに充実させるための資金です。公益法人はこの資金を積み立てて必要に応じて活用できるようになり、突発的な資金需要にも対応しやすくなります。資金の使い道が明確であるため、計画的な資金運用が可能です。この公益充実資金によって公益法人はより積極的に事業を展開できるでしょう。

公益充実資金の導入は、公益法人が将来的な事業拡大や新規プロジェクトに対しても、柔軟に対応できる体制を整えることを意味します。そのため、公益活動の質を向上させるための重要なリソースとなり得ます。さらに、資金の透明性を確保することで、寄付者や支援者からの信頼も高まるでしょう。

変更点3:遊休財産から「使途不特定財産」へ

従来の「遊休財産」は、具体的な用途が決まっていない財産を指していました。2025年からは「使途不特定財産」として再定義されます。この変更により、災害対応などの緊急時に必要な財産を保有制限の対象からの除外が可能となりました。そのため、公益法人は柔軟に財産を管理し、緊急時にも迅速に対応できるようになります。

また、使途不特定財産の導入は、公益法人が予期せぬ事態に備えるための重要な要素ともいえるでしょう。結果的に公益法人は財産を柔軟に活用し、迅速な対応が求められる場面でも効果的に行動できます。資産の管理が効率化されることで、財務の透明性も向上し、組織全体の信頼性が高まります。

なお、資金の管理には会計ソフトを活用がおすすめです。「WEBバランスマン」を使えば、使途不特定財産の管理も容易になり、財産の状況をリアルタイムで把握することが可能です。資産の最適な活用が促進され、公益活動の質の向上にもつながるでしょう。

財務三基準によくある質問

公益法人の財務三基準について、よくある質問にお答えします。これらの基準は公益法人がその目的を達成するために重要な役割を果たしますが、時には基準を満たせない場合もあります。そんなとき、どうすればよいのか、また公益法人は赤字でなければならないのかについて解説します。

財務三基準を満たせなくなった場合は?

公益法人は、公益目的を果たすために設立されているため、財務三基準を遵守することが求められます。しかし、経済状況の変化や予期せぬ事態により、これらの基準を満たせなくなることもあるでしょう。このような場合、まずは現状を正確に把握し、改善策を講じることが重要です。

具体的には、収支相償の基準を満たせない場合、事業の収入と支出を見直し、バランスを取るための計画を立てる必要があります。たとえば、事業の効率化やコスト削減、収入源の多様化を図ることが考えられます。また、公益目的事業比率が低下した場合は、公益目的事業の割合を増やすための新たな事業を検討することも有効です。

遊休財産額保有制度に関しては、遊休財産が過剰になっている場合、資産の有効活用を図るための計画を立てることが重要です。資産を公益目的事業に活用する方法を模索し、適切な管理を行うことで、基準を満たせるようになります。

公益法人は赤字じゃないといけないのか?

結論から言うと、公益法人が赤字である必要はありません。むしろ、健全な運営を維持するためには、適度な黒字を確保することが望ましいです。ただし、過剰な黒字は問題を引き起こす可能性があります。公益法人は利益を追求することが目的ではなく、公益のために活動することが目的です。

そのため、収益が過剰に蓄積されると、本来の目的から逸脱しているとみなされることがあります。過剰な黒字を避けるためには、収益を公益目的事業に再投資し、社会に還元することが求められます。具体的には、得られた収益を新たな公益目的事業の立ち上げや既存事業の拡充に充てることが考えられます。

また、公益目的事業の質を向上させるための投資を行うことも有効です。これにより、公益法人はその使命を果たしつつ、健全な財務状況を維持することができるでしょう。さらに、公益法人の財務状況を透明にすることも重要です。透明性のある財務報告を行うと寄付者や支援者からの信頼を得られ、さらなる支援を受けやすくなります。

公益法人における財務三基準のまとめ

公益法人の財務三基準は、公益目的を達成するために欠かせない指針です。これらの基準を遵守することで、公益法人はその使命を果たし続けられます。基準を満たせない場合には、収支の見直しや資産の有効活用、新たな事業の検討が求められます。また、公益法人は適度な黒字を確保しつつ過剰な黒字を避けることが重要です。

収益は公益目的事業に再投資し、社会に還元することが求められます。このような複雑な会計処理を効率的に行うためには、会計ソフト「WEBバランスマン」が役立ちます。WEBバランスマンを使用することで、収支の管理や資産の状況を簡単に把握でき、公益活動に専念できる環境を整えることが可能です。この機会にWEBバランスも併せて検討してみてください。