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書類をペーパーレス化するには?手順と方法


2024.10.31

企業が成長するには、時代に合わせた取り組みが欠かせません。時代ごとに社会の在り方や消費者ニーズは変化し、それらに対応しなければ淘汰されかねないためです。時代に合わせた取り組みの一つに「ペーパーレス化」があります。主に業務で扱う書類に対して行われる取り組みですが、積極的に推し進めている企業と、そうではない企業があるでしょう。

すでに取り入れている企業は、書類のペーパーレス化が組織の変革や、さらなる成長のために不可欠であることを知っています。本記事では、書類のペーパーレス化の概要や、推進のメリット、実際に取り組む際に導入を検討したい会計ソフトなどについて紹介しましょう。

ペーパーレス化とは?

ペーパーレス化とは、業務で使用している紙媒体の書類を電子化し、データとして保存・活用し管理することを表す言葉です。単に紙の使用をやめたり使う量を減らしたりすることのみを指すわけではない点は押さえておきましょう。書類の「電子化」や「データ化」も同様の意味で使われます。

ペーパーレス化の主な方法

ペーパーレス化は、書類作成などの過程によっていくつかの方法で行われます。代表的な方法は「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」の3つです。

自社で書類を用意する際、最初からデータとして作成した場合は、そのまま保存できます。「電子帳簿等保存」と呼ばれるこの方法では、紙を一切使わず、印刷も必要ありません。一度紙に書いたり印刷したりした書類をスキャニングし電子化・保存する方法が「スキャナ保存」です。要件を満たしていれば、カメラで撮影し電子化することもできます。「電子取引データ保存」は、電子化された書類をメールやクラウド上でデータとしてやり取りし、保存する方法です。

書類のペーパーレス化をするメリット

書類のペーパーレス化は、電子帳簿保存法により一部義務付けられており、企業はそれに従って保存しなければいけません。ただ、義務化されているか否かにかかわらず、書類のペーパーレス化には意義があります。ここでは、書類のペーパーレス化によりもたらされるメリットを紹介しましょう。

中長期的にコストが削減できる

紙の書類の作成には用紙代がかかり、コピーなどで複製する場合にはインク代がかかります。コピー機も用意しなければならず、業務用であればメンテナンスも欠かせません。書類をペーパーレス化すると、こうしたコストが必要なくなります。取引先などとのやり取りがデータで行われれば、文書の郵送や運搬にかかる費用も不要となるでしょう。

重要書類の破棄には欠かせないシュレッダーや廃棄業者の利用も、ペーパーレス化が推進されることで不要となります。書類を保存しておくファイルやケース、キャビネットなども必要ありません。それらを置いておくスペースも不要です。ペーパーレス化は会計ソフトなどの導入に費用がかかる場合がありますが、中長期的にみれば大幅なコスト削減効果をもたらすでしょう。

業務効率の向上につながる

ペーパーレス化が進められると、書類の多くは電子化されパソコンやスマートフォンで検索・閲覧が可能となります。必要書類を探しやすくなり、また、社内での共有もしやすくなるでしょう。稟議書など確認や承認が必要な書類の回覧もスムーズに行えます。ミスや問題があった場合、電子化された書類であれば容易に修正が可能です。従業員の負担が軽減され、業務の効率化が図れる点はペーパーレス化の大きなメリットでしょう。

情報管理が徹底できる

紙の書類は、保管場所によっては誰でも閲覧が可能となり、社外に持ち出されてしまうリスクもぬぐえません。電子化された書類もセキュリティ上のリスクをゼロにはできないものの、物理的な持ち出しや紛失などは避けられます。ペーパーレス化された書類は閲覧制限をかけることも可能であり、情報管理が徹底できる点は大きなメリットです。紙の書類とは異なり閲覧や修正のログも残せるため、改ざんや不正も防止しやすいでしょう。重要な書類であるほどペーパーレス化が求められます。

企業イメージの向上が狙える

ペーパーレス化は、紙やインクの使用を最小限にできるため、環境によい取り組みといえます。また、業務の効率化に積極的であり、企業全体で従業員の負担軽減のための改革に取り組んでいるともいえるでしょう。こうした動きは、内外問わず企業のイメージを向上させる効果をもたらします。業務の効率化によって、従業員のモチベーションやエンゲージメントが高まるケースは少なくありません。結果、離職率の低下にもつながりやすくなります。外部からの企業イメージの向上は、新たな投資を呼び込んだり取引先と良好な関係性を構築したりするのにも役立つでしょう。優秀な人材獲得につながるなど、採用力を強化する効果も期待できます。

多様な働き方に対応できる

書類のペーパーレス化を推し進めると、多様な働き方にも対応しやすくなるでしょう。書類関係の業務のためにオフィスに顔を出したり直接顔を合わせたりする必要がなくなるためです。クラウド上で書類の確認や承認ができ、取引先などとの領収書や契約書のやり取りもパソコンやスマートフォンなどで行えます。時間や場所の制約を緩められるため、フレックスタイム制や短時間勤務制なども導入しやすくなるでしょう。ワーケーションやテレワークなどの導入も可能となり、結果、多様な人材の確保にもつながります。

書類をペーパーレス化する手順

書類をペーパーレス化する手順は、書類や電子化の方法などによって多少異なります。ここでは、ペーパーレス化の基本的な流れを紹介しましょう。

1.対象の書類を選別する

書類と一言でいってもさまざまな種類があり、すべてを電子化するのは容易ではありません。部署や業務などによっては紙の方が効率がよい場合もあるため、まずは電子化の対象となる書類を選別しましょう。その際には、現場の声も取り入れながら、業務に支障が出ないよう配慮したうえでペーパーレス化を取り入れていく必要があります。特に、紙の書類の扱いに慣れた従業員が多い組織では注意しなければいけません。

2.書類を電子化する

対象となった書類を電子化していきます。自社で用意する書類を最初からデータとして作成したり、取引先から受け取る領収書などをデータで受け取ったりなど、可能な限り紙を使わない形でペーパーレス化を進めていきましょう。紙の書類に関しては、スキャナ保存をし電子化します。スキャニングする際には、電子帳簿保存法で定められた要件に従わなければいけません。事前に確認し、要件を満たした形で電子化しましょう。

3.ルールに沿って保存する

電子化した書類の保存も、電子帳簿保存法で定められたルールに沿った形で行う必要があります。例えば、検索機能を確保した状態で保存しなければいけません。取引書類の場合には、取引年月日や取引金額、取引先などが検索できる形で保存しておきましょう。また、真実性の担保として、タイムスタンプの付与も求められます。単に画像データのみを保存しておけばよいわけではない点には注意が必要です。

4.会計ソフトなどに取り込む

ペーパーレス化は、書類を電子化したあと、適切に保存し活用できる状態としておくことに意味があります。そのため、電子化した書類は単にファイルとしてまとめておくだけではなく、会計ソフトなどに取り込んでおきましょう。会計ソフトの中には、取り込むと同時にタイムスタンプが付与されたり、他のシステムと共有・連携できたりするものがあります。ペーパーレス化する書類や業務、自社の形態や規模に合ったソフトやシステムを導入すると、会計に関する業務がスムーズに行えるでしょう。

書類のペーパーレス化に便利な会計ソフト

書類のペーパーレス化には、会計ソフトが欠かせません。単に書類を電子化しても適切に活用・管理するのは難しく、専用のソフトなしでは業務の効率化も図れないためです。ここでは、書類のペーパーレス化に便利な会計ソフトを、公益法人向けのものと一般企業向けのものとに分けて紹介します。

WEBバランスマン

「WEBバランスマン」は、公益法人向けに開発された会計ソフトです。伺書からの入力が標準装備されており、また、平成16年と平成20年の双方の公益法人会計基準に関して、ともに決算書出力ができるなど、公益法人の会計処理に必要な機能を備えています。電子保存機能は、オプション機能として利用可能です。電子化した書類のリスト化も容易にでき、ペーパーレス化に欠かせない電子決裁機能も利用できるなど、さまざまな業務で効率化が図れるでしょう。

マネーフォワードクラウド

「マネーフォワードクラウド」は、個人事業主から大企業・上場企業まで、規模や業種を問わずに利用可能な会計ソフトです。会計・財務管理、経費精算はもちろん、電子契約や勤怠管理などさまざまな業務をクラウド上で行えます。電子帳簿保存法にも対応しているため、ルールに沿った形でのペーパーレス化が実現可能です。使うたびに自動入力や自動仕訳の精度が向上するAIなど、独自の機能が業務の効率化をサポートしてくれます。

書類のペーパーレス化についてまとめ

ペーパーレス化とは、書類を電子化し、データとして活用・保存などする取り組みです。書類のペーパーレス化は、業務の効率化やコスト削減など、さまざまなメリットを企業へともたらすでしょう。電子化のための方法はいくつかあり、書類の種類などにより異なります。紙の書類の場合にはスキャナ保存をするのが一般的です。そのうえで、会計ソフトなどに取り込み、適切に管理できるよう保存しておくと、会計業務全般の効率化が図れます。その際には、法律で定められた形で保存・管理しなければいけません。自社に合った会計ソフトを選択し、ペーパーレス化を推し進めましょう。