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電子帳簿保存法の対象書類と対象企業は?


2023.10.03

電子帳簿保存法は、日本国内において、企業や法人が財務データを保管する際に適用される重要な法律です。この法律では、特定の対象書類および該当する企業が具体的に規定されています。この法律の重要なポイントは、特定の書類を電子形式で保管することが法的に義務付けられている点です。この記事では、電子帳簿保存法の適用範囲に含まれる書類や企業、保存方法などについて紹介していきます。

電子帳簿保存法の対象書類

電子帳簿保存法の対象となっている書類とは、主に会計や税務に関連する書類を指します。この法律は、日本の企業や事業者に対し、特定の書類を電子データとして保存するための規定を設けています。

国税関係帳簿

電子帳簿保存法の対象になる最も重要なカテゴリーのうちの一つで、国税申告や納税に関連する帳簿類が含まれます。具体的には、総勘定元帳や仕訳帳などの会計帳簿などです。これらの帳簿は、企業の収支や取引の履歴を記録し、税金の計算に使用されます。

決済関係書類

このカテゴリーには、企業の財務状況を示す重要な書類が含まれ、貸借対照表と損益計算書などが挙げられます。これらの書類は、経営者や株主に企業の財務状況を報告するために使用され、また税務申告にも必要となるものです。

取引関係書類

取引関係書類は、企業が他の企業や個人との契約や取引に関連する内容の書類を指します。例えば契約書、請求書、領収書、支払い証明書などです。取引関係書類は、取引の証拠として重要であり、税務上の証拠としても使用されます。

電子帳簿保存法の対象企業

電子帳簿保存法は、所得税と法人税の納税者である企業および個人事業主に適用される法律です。つまり、所得税や法人税を申告し、納税する責任があるすべての法人および個人事業主がこの法律の対象となります。

企業

電子帳簿保存法は、法人税を課税されるすべての法人組織に適用されます。これには、株式会社、合同会社、有限会社、一般社団法人、一般財団法人などが含まれます。法人税の納税義務を負う企業は、この法律に基づき、特定の帳簿類や取引関係書類の電子保存をおこなう必要があります。

個人事業主

個人事業主は、自身の事業における所得税の納税義務を負います。このため、個人が独自に事業を営む場合や、フリーランサー、クリエイター、コンサルタント、自営業者として収入を得る場合などは、所得税の申告と納税が求められます。電子帳簿保存法はこのような個人事業主にも適用され、対象書類の電子保存が必要です。

電子帳簿保存法の対象書類の保存方法

電子帳簿保存法の対象書類の保存方法は、作成方法や受領方式によって異なります。書類の種類や法的要求事項に応じて最適な保存方法を選択することが重要です。一般的には、3つの区分に分けられます。

電子帳簿等保存

会計システムや文書管理システムなどで作成された帳簿書類を電子データとして保存することを認める規定です。特定の条件を満たすと、過少申告加算税の軽減や青色申告特別控除額の増額などのメリットを受けることができます。電子帳簿等保存を利用するためには、「データ作成要件」、「データ保存要件」、「データ提出要件」の3つの要件を満たすことが必要になります。

「データ作成要件」とは、帳簿書類を作成する際に、正確性・完全性・信頼性を確保するための措置を講じることを指します。「データ保存要件」は、帳簿書類を電子データとして保存する際に、変更・改ざん・紛失・破壊などから保護するための措置を講じることです。「データ提出要件」は、帳簿書類を税務調査等で提出する際に、読み取り可能な形式で提供できるようにしておくことです。

スキャナ保存

スキャナ保存とは、紙で作成・受領した書類をスキャンした後に画像データとして保存することを認める規定です。この規定を利用することで、紙の書類の保管スペースや管理コストを削減できるでしょう。また、一定の要件を満たした専用機器を用意する必要があります。スキャナ保存を利用するには、「入力方式」、「解像度」、「タイムスタンプ」、「大きさ情報」の要件を満たすように保存することが必要です。

「入力方式」は、国税関係書類の受領後に速やかにスキャニングする、または、業務の処理にかかわる通常の期間を経過した後に速やかにスキャニングする、のどちらかの方式を選択する必要があります。「解像度」の要件は、25.4ミリメートルあたり200ドット以上で保存することになっています。「タイムスタンプ」は、スキャニングした画像データに、日付・時刻・内容が改ざんされていないことを証明するために必要です。「大きさ情報」は、国税関係書類の大きさがA4より大きい場合は、画像の大きさに関する情報を保存することが求められます。

電子取引保存

電子取引保存は、電子的にやり取りされた取引データを電子形式で記録するための規定です。2022年の法改正によって、電子データでの保存が必要とされ、2023年12月末までの猶予期間が設けられました。電子取引保存を利用するためには、「真実性の確保」、「可視性の確保」、「検索機能の確保」の3つの要件を満たすことが必要です。

「真実性の確保」とは、保存したデータが無断で削除または改ざんされていないことを証明するための手段です。「可視性の確保」は、保存したデータを必要な際に検索し、表示できる状態を維持することを意味します。さらに、保存したデータを整理されたフォーマットで迅速に出力できることも求められます。「検索機能の保証」は、ファイル名に取引の日付、取引相手、取引金額などの情報を含め、データを容易に検索できるようにすることです。

電子帳簿保存法の対象書類で便利な電子取引

電子取引は、紙での保存や管理に比べて、スペースやコストの削減ができ、検索や閲覧も効率的におこなえます。電子帳簿保存法の対象書類で便利な電子取引には、次のようなものがあります。

電子メールで送信した請求書

電子帳簿保存法の対象書類の中で、とくに便利なのは電子メールで送信された請求書です。効率的な取引をサポートする重要な役割を果たしています。メールに添付されたPDFファイルやメール本文で送った請求内容などが対象になっています。

クラウド上のサービスを使って発行した契約書

インターネット上のサーバーに保存された契約書を電子データで取引先に送付することで、取引を迅速におこなえます。電子データの契約書は紙の契約書よりも管理が容易で、即座にアクセスすることが可能です。また、クラウド上で発行された契約書は、電子署名と組み合わせて、法的な効力を持つ契約を交わすこともできます。

ペーパーレスFAXで受け取った見積書

ペーパーレスFAXとは、FAX機器を使用せずに、パソコンやスマートフォンなどで、電子データとして受け取る形式です。受け取った見積書は電子データとして保存され、電子帳簿保存法の要件を満たすことができます。また、ペーパーレスFAXは紙を使用しないため、環境に優しい選択肢だと言えるでしょう。

電子帳簿保存法の対象書類に対応したソフト

電子帳簿保存法の対象書類に対応したソフトは、データを作成する際に非常に便利です。対応ソフトを利用することで、法的なコンプライアンスが確保され、税務申告や監査に対するリスクが低減します。また、データ入力や計算の自動化をサポートし、業務の効率化を図ることも可能です。公益法人には、下記ソフトがとくにおすすめです。

公益情報システム株式会社「WEBバランスマン」

「WEBバランスマン」は、公益情報システム株式会社が提供する公益法人向けのクラウド会計システムです。このシステムの特徴の一つは、伺書入力機能です。伺書から支出伝票までのデータを最初に入力した際に、それらの情報を引き継ぐことができます。この機能により、支出のタイミングや支出元などの情報を事前に決定し、後から入力する手間を省くことができるでしょう。さらに、16/20年会計基準の両方に対応した決算書の出力が可能です。この機能は、以前の基準に基づいて決算書を作成したり、会計基準の違いを分析する際に役立ちます。

また、WEBバランスマンでは、会計権限、業務権限、事業権限の設定をすることが可能です。これらの権限を用いて、メニュー表示、閲覧、データ入力の権限を詳細に制御できます。例えば、予算管理や決算帳票などの特定の機能を特定のスタッフに限定することができるでしょう。セキュリティが向上し、データ管理がより厳格におこなえるため安心です。

電子帳簿保存法の対象についてまとめ

電子帳簿保存法は、企業や法人などが財務データを適切に保管し、会計の透明性を維持するために重要な役割を果たしています。電子帳簿保存法を遵守することで、企業の信頼性を高めることが可能です。保存方法や要件などのルールがあるため、電子帳簿保存法に関する最新の情報や動向に注意を払い、適切な対策を講じることが重要となるでしょう。